しかし、多くのビジネスパーソンがこの通りに実行しても成功にたどり着くことは難しいと思います。

「ゴールは変えてはいけない」
「強く念じたものが成功をつかむ」

は、ある意味で本当のことでしょう。しかし、その手法が具体的に明示されていないのでリアリティがありません。そこからは共感は生まれないでしょう。

さらに、上場企業の経営者と一般的なビジネスパーソンでは社会的な地位も収入も異なります。読者に近い目線の体験の方が、ハードルが低く役にたつことが多いように思います。なにを申し上げたいかというと、自分の身の丈にあった企画立案が重要だということです。

例えば、税理士や行政書士が、パティシエやダイエット本を立案しても、自分の仕事との適合性は見られません。当然ながらミスマッチな企画として採用されることは難しいでしょう。少々大げさに聞こえるかも知れませんが、このようなミスマッチな企画を提示してくる人は沢山いるのです。

間違った自分史の作成方法

間違った方向性に向かわないためにも、自分の歴史を振り返りながら「自分史」を作成する重要性があります。自分史を作成するには「自己分析」が必要になります。

自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせて、自分の強みや弱みを明確にしながら、自分自身の軸や志向を発見するものです。

最初、自己分析は新鮮に映ります。しかし、それほど自己分析に力を注いでも意味がありません。それどころか、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることはないからです。

自己分析の最大の問題点は自分を一つの型にはめてしまうことにあります。例えば、事業で成功して、社会的地位のある人でも、自己分析ができていない人はいます。自分の軸がない人もいます。それ自体は悪いことではありません。

軸を持たずに自分のやりたいことや思考を目まぐるしく変化させるのは、環境に合わせられる柔軟な思考力を持っているということです。著者が限られた大事な時間を自己分析に費やすよりも、他にやるべき大切なことに費やす方が賢明だということです。そうならないためにも、専門家のアドバイスを仰いだほうが間違いないと言えるでしょう。

出版社へのアタックはどうなの?

出版社に猛烈にアタックしている人を見かけることがあります。気持ちは理解できますが、その時間はムダになってしまう可能性が高いでしょう。私の周りの著者をみても、出版社への個別アタックで出版を実現できたケースはほとんどありません(1~2%程度はあります)。

出版社の編集者は、日々の業務に追われておりハードワークです。それでも、編集者の元には毎日多くの出版企画書が送られてきます。出版社は新しい著者を求めてはいますが、やみくもに拡大しようとは考えていません。出版業界は非常にアナログ的です。そこには一定のルールが存在します。出版業界の情報はあまり公開されていませんが、選択する側も賢くなり目利きにならないといけません。

出版は信頼を高め自分を効果的にPRするためのツールになります。そのように考えると、あらゆる職業の人にとって出版は魅力的な施策であるといえるのでしょう。

皆さまのチャレンジが実を結びますように!

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)