■メルの穴は実在するか

 メルの穴には疑問も多数提示されている。例えばウォーターズ氏が行ったという釣り糸の実験であるが、24キロメートルにも及ぶ釣り糸となれば、どんなに細く軽いものでも数十~百キログラムもの重さになる。その重さを地上から支えるのは大変だ。また、地下24キロメートルとなればその温度は摂氏700度を超える。釣り糸はそんな過酷な場所に耐えられるのだろうか?

 また、そもそも深さ24キロメートルに及ぶ穴はありえないという主張も存在する。メルの穴があるといわれるエレンズバーグ出身の地質学者ジャック・パウエル氏によれば、地質学的にも物理学的にも、それほど深い穴は存在できないという。もしそんな深さの穴を掘ったとして、周囲の地層から受ける圧力と熱で自壊してしまうというのだ。実際、過去にもっとも深くまで掘られたロシアの穴でも深さ14キロメートルほどとされる。

 さらにはウォーターズ氏の実在そのものを疑う声もある。マニアの調査によって、周辺地域にはメル・ウォーターズという名の人物が在住していたという公的記録は一切見つからず、問題の地域の土地を所有していたという記録も全く見つからないことが明らかとなったのだ。一部には政府による情報の改ざんが行われているという声もあるが、少なくともメル・ウォーターズという名が偽名なのは明らかだろう。

アメリカ政府が隠蔽?「メルの穴」の正体とは…深さ24km、投げ込んだ死体が蘇り、UFO目撃も… 全米戦慄“呪われた穴”の謎
(画像=ジャック・パウエル氏。画像は「Daily Record」より引用,『TOCANA』より 引用)

 メルの穴と杉沢村伝説のような都市伝説には共通点がある。それはインターネットによって情報が広まり、様々な人が議論し、検証に当たったという点である。そして現在、検証の結果としてその実在は疑われているものの、今なお熱心な信者を抱え、インターネット上でまことしやかに噂され続けている点も似ている。グーグルアースでUFOの痕跡やエイリアン基地を探し続ける人もいれば、ネットで議論しながら地図から消されたとされる村や穴を探し続ける人もいる。どちらも現代らしいオカルトのあり方なのだろう。

参考:「Wikipedia」ほか

※当記事は2018年4月の記事を再掲しています。

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提供元・TOCANA

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