近親者の間で“産めよ増やせよ”を繰り返した結果、40人もの子供を抱えて暮らす一家がいる――。その暮らしぶりば“健康で文化的”とは程遠いものであった。
■40人の子供を抱えた近親婚一家
ネットの普及によってそれまで隠されてきたことが続々と可視化される時代を迎えている。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の奥地でひっそりと暮らしていた近親婚一家の存在が2012年に“発見”され、彼らは「コルト一族」と名づけられた。
コルト一族は世界で最も近親交配した家族として知られており、それまでは水や電気もない粗末なテントの中で孤立して暮らしていたのだった。
4世代の家族によって構成されていた一族は40人の子供たちを抱えており、全員が少なくとも1人の親族から性的虐待を受けたのではないかと考えられている。
彼らの家系図はこれまでに見たことのないもので、家長のティムは自分の子供たちの父親であるだけでなく、祖父母の子供たちの父親であると信じられている。彼の妻であるジューンも兄妹(きょうだい)関係の娘で、マーサ、フランク、ポーラ、チェリー、ロンダ、ベティ、チャーリーという7人の子供がいる。
2012年に警察が“発見”した時、顔の変形、言語障害、そしてひどい衛生状態に晒された12人の子供が保護された。 彼らは読み書きができず、重度の栄養失調で、糞尿の入ったバケツの隣で眠っていたのだ。調査員は1人を除いてすべてが近親婚の子供であることを確認した。
当時の報告書によると、彼らは配管や水道のない粗末な小屋、テント、キャラバンに約20匹の犬とともに住んでいたという。“コミューンスタイル”の生活様式でシャワーはなく、若いメンバーはトイレ、歯ブラシ、トイレットペーパーの使い方を知らなかった。
子供たちの多くは足を引きずって歩き、理解できない言葉で話し、読み書きができなかった。彼らは薄汚れていて恥ずかしがり屋で、目を合わせることができず、真菌感染症や虫歯に悩まされていた。