■ 架空の有名人を自炊し始めたもよう
誘われたグループでは、活発に投資関係の意見が交わされていました。とにかく通知が多い。
その中で「伊藤先生」と言う人物が、いろいろなアドバイスをしていました。
話によると「伊藤先生」は、自称・著名な金融アナリスト。東京大学大学院経済学研究科を卒業、ペンシルバニア大学ウォートンスクールで博士号をとったといいます。キャリアは30年で、最初の持ち出し60万円をなんと20億円にしたそうです。
なんともすごい方ではありますが、「伊藤康之」という「金融アナリスト」をググってみるもなぜか全く出てこない。
そこで「伊藤先生」のアカウントプロフィールも確認してみましたが、さらによく分からず。
しかし、アカウントの下のほうに、LINE公式からの注意喚起「LINEを悪用した詐欺にご注意ください」(赤線)という表示が出ているのに思わず苦笑。詐欺アカウントに限らず表示されているようですが、詐欺グループにとっては、目も当てられない記載に違いありません。
ちなみに「LINE」からのアナウンスは、お金を騙し取ろうとする詐欺が増えているという注意喚起。具体例として「好意があるふりをする」「著名人のふりをする」などが紹介されていました。
今回は、この「伊藤先生」とやらが「著名人」とのことなので、「著名人のふりをする」に該当するかと思われます。
以前の「有名人をかたる詐欺」の手口では、本当に有名人の名前や写真が無断で使われていました。しかし昨今「詐欺問題」「なりすまし」が大きく取り沙汰されるようになっているため、詐欺側にとって「有名人」は使いにくくなっているもよう。
そこで「伊藤先生」のような架空の「著名人」を作り出し、詐欺を行うことが増えているようです。つまり、詐欺グループは、有名人を使うのではなく、架空の有名人を「自炊」するように進化したもよう。これが先述した「伊藤先生の存在は後々、重大な意味を持つことに気づく」の理由です。
なるほど、「自炊」ならば無数に架空有名人を作り放題。経歴に弱い方であれば、まんまと騙されます。むしろ「ホリエモン」とかの有名人よりも、マニアックで効果がありそうな気さえしてしまいます。
余談ですが、伊藤先生についてさらに調べていくと、書かれていたプロフィールがある人物のものと一致することがわかりました。どうやらプロフィール情報などは実在の方を参考にして作り上げているようです。
■ つっこんでみる
なにはともあれ、有名人を勝手に使おうが、自炊しようが、誰かが騙されてしまうのは良くありません。
また、有名人と偽り、特定の銘柄を勧めるのは、かなり悪質です。もう大体の結末も見えてきたので、折角だから注意喚起をかね、LINEグループメンバーみんなの前で「詐欺ではないか」と突っ込んでみます。
まずは、伊藤先生のLINEアカウントに貼り付けられていた、LINE公式からの詐欺の注意喚起を、グループタイムラインにぺたり!
すると、“想定内”の行動を起こされました。
LINEグループを即脱退!
なんとも素早い対応。これで確信がもてました、詐欺でなければ「違う」と否定をすれば良いはずです。
つまり、この方々は「詐欺」を行っており、それに対し真実を突っ込まれてしまったので、これ以上被害(?)を防ぐため、グループからBANをしたようです。
また、先ほどまでやりとりしていた高橋のLINEでも詐欺ではないか尋ねてみると……既読スルー。一切答えてくれなくなりました。
もしかすると、詐欺をうたがわれたら否定せずに、即座にBANすると言う対応も含め、詐欺グループのマニュアルなのかもしれません。
今後は、有名人だけでなく、有名人を作り上げた「自炊有名人詐欺」にも注意が必要です。