金融機関には、破たんした時に備えて顧客の資産を守るためのセーフティネットがある。その1つとして、「ペイオフ」という銀行預金保護の仕組みを知る人も多いだろう。証券会社にも同様の仕組みがあり、万が一の時のために基本知識を押さえておきたい。

ペイオフとは銀行預金の払い戻し方法の1つ

銀行や証券会社、保険会社といった金融機関には、破たんした時に預金者、投資者、保険契約者の資産を守るためのセーフティネットが設けられている。主なセーフティネットは、「預金保険制度」、「投資者保護基金」、「保険契約者保護機構」などを通した資産の保全措置である。その中で、銀行預金を対象にした預金保険制度における預金保護の方法として、「払い戻し」を意味するペイオフ(pay off)方式と資金援助方式がある。

その違いは、銀行の破たん時にどこから預金が預金者に払い戻されるのかということだ。ペイオフ方式では、預金保険制度を運営する預金保険機構が預金者に直接払い戻す。資金援助方式の場合、破たんした銀行を買収した他の銀行などが預金を払い戻すのである。

証券会社の破たんとペイオフ

預金保険制度で保護される預金は、普通預金などの一般預金なら基本は1つの銀行につき元本1,000万円までと破たん日までの利息が保護される。それを超える金額は破たんした銀行の財産状況による。

証券会社でもこれと似た制度があり、証券会社版ペイオフと言ってもいいだろう。

証券会社に預けた資産は原則として全額が保護される

証券会社が破たんした時には、投資者保護基金が1人あたり上限1,000万円までを補償する。1,000万円超の金額については顧客が破たんした証券会社に返還請求できるが、実際に返還されるかどうかは証券会社の財産状況次第だ。

投資者保護の仕組みには証券会社版ペイオフの他に分別管理制度があり、証券会社が破たんしても顧客資産には影響がない。分別管理制度とは、証券会社が顧客から預かった金銭や有価証券を、証券会社自身の資産と厳格に分けて管理する制度である。この制度のおかげで、証券会社が破たんしても顧客の資産は原則として全額が保護されるようになっている。

仮に破たんした証券会社が分別管理制度に違反していた場合に、証券会社版ペイオフが発動されるという二重のセーフティネットが敷かれているのだ。

証券会社版ペイオフで保護される取引の範囲

証券会社版ペイオフで保護される資産の範囲は、金額以外にも対象になる取引が決まっている。保護の対象にならないのはデリバティブ取引といった複雑な取引の他、FX取引(外国為替証拠金取引)などである。対象になる取引は以下の通りだ。

国内・海外で発行された、

  • 株式
  • 債券
  • 投資信託
  • その他取引所取引における証拠金など
  • 上記取引に関する金銭

証券会社版ペイオフの補償手続き

証券会社が分別管理に違反し破たんするケースはまれであるが、証券会社版ペイオフを利用することになった時の補償手続きについて確認しておきたい。

証券会社が破たんすると、投資者保護基金による顧客預かり資産状況の監査が始まる。投資者保護基金は監査の結果、証券会社が分別管理に違反して顧客に金銭や有価証券を返還できない可能性があると判断した場合、補償を決定する。顧客に対しては、新聞への公告や郵送通知によって補償を請求する期間や場所、方法などを知らせる。顧客が補償を受けるには、必要な書類を投資者保護基金に提出し、1人1,000万円までを限度に補償の支払いを受けるという流れだ。

証券会社の破たんを不安視し過ぎる必要はない

金融機関には顧客の資産を守る仕組みがある。中でも証券会社に預けた資産は全額保護が原則だ。そのため、必要以上に破たんを不安視することはない。過去に分別管理をしていなかった証券会社もあるが、顧客側からそれを調べるのは難しい。どうしても不安な人は、会社の規模や財務状況などから少しでも安心できる証券会社を選んでみてはいかがだろうか。

 
執筆・國村功志(ファイナンシャルプランナー)

大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品販売に携わる。その後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経て、現在は資産形成ファイナンシャルプランナーとして活動。個人の資産運用経験も活かし、金融機関や一般の人向けに毎月セミナーも行っている。

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