■インパクトがありすぎるルックス

 さて、この事件を見たときに、まず多くの人々が真っ先に思うであろうことの1つに、「女スリ犯のルックス」が、あまりに強烈なインパクトを与えるものであるという点があるかと思う。たしかに事件発生当初に配布されたチラシなどで紹介されたカメラ映像の中のスリ犯は、画質が悪いことも手伝い、常人離れした、あえて言葉を選ばなければ、それこそ妖怪のような風貌の持ち主なのだ。前述の通り、この「ルックス」が与えるインパクトが、この事件の知名度を上げている1つの要因であるといえるだろうが、実はそれこそが、皮肉にも、犯人逮捕を難しくしている最大の原因ではないかと筆者は見ている。  1枚目の画像をご覧いただいたであろうが、なにせこのルックスである。仮に防犯カメラの映像ではなく、至近距離から見て、これとさして変わらぬルックスであったとするならば、すれ違うたびに、多くの人々がこの女の姿を見て強烈な印象を受け、忘れたくても忘れられない状態に陥るハズである。にもかかわらず、現場周辺での目撃情報からは、不思議と彼女の足取りはほとんど浮かび上がってこなかったという。ということは、事件発生当時、周囲の人々が実際に見た「この女の姿」と、防犯カメラ映像からの画像として公開された「この女の姿」は、大きく異なっている可能性が高いと推測されるのだ。