まだ断言はできないが、クルマの売れ行きは明白に変わった…

カナダの業務用でトヨタ シエナ ハイブリッドを購入しようとディーラーに電話をしたら笑われました。「そんなの、いつ納車できるかかわからない、だけどクラウンなら在庫はあるぞ!」と。知り合いのクルマ屋に聞いたらミニバンのような売れ線ではない車種は製造も納車も廻ってこないから2年待ちだと。とはいえ、何もしなければ永久に買えないのでコネを使って早めに廻してもらうよう画策しました。私がGTRを買った時でさえ1年待ちぐらいだったのに一体何なのだろうと思います。アメ車には似た車はありますが、ハイブリッドではないのでそれはダメ。今はハイブリッドにこだわります。

トヨタ自動車HPより

実はハイブリッドのクルマが大リベンジをかけているのは中国だけでなく、欧州、そして直近のフォードの決算にもみられたように明らかに世界でクルマの売れ線に変調が感じられます。ハイブリッドと言えば日本のお家芸で圧倒的強さをここから見せそうです。聞こえてくるのはEVの使い勝手が必ずしも便利ではなかったこと。テスラの評価が下がっているのはEVしかない同社の企業戦略が時代の流れにマッチしなくなった場合のリスクであります。EVについてはBYDが市場を侵食しており、アップルとサムスンのスマホ戦争の二の舞すら感じられるようになりテスラの収益も圧迫しそうです。

クルマがどのように進化するのかについては紆余曲折がありそうと申し上げたと思いますが、EVが環境問題に照らし合わせ政治主導で進められたのに対してハイブリッドは欧米で上手く作れないことから「そんな車はダメ」という烙印を政治的に決定したのでした。が、消費者は必ずしも政治主導で補助金まみれのEV政策に「そこまで熱くなれなかった」のでしょうか?クルマをどのように使うか、ガソリン代が生活費に響くほど乗るのか、週末ドライバーなのかでもずいぶん変わるでしょう。ハイブリッドはチョイ乗りなら経済的であることから消費者の判断はそこにあったのかもしれません。このトレンドはまだ断定はできないですが、確実にその兆候は見て取れます。

窮地に陥るゼレンスキー氏

ウクライナ問題については私は戦争の悲惨さとは別にやや冷めた見方をしてきました。それは開戦してしばらくしてから見えたプーチン氏とゼレンスキー氏の意地の張り合いが「親子喧嘩」のようにしか見えなかったこともあるでしょう。何度か浮かんだ休戦調停の話も両者の掲げる条件が問題解決に何一つ助けにならず、これは「根気比べ」になるなとみていました。案の定、欧米は「支援疲れ」が明白になります。欧州は先日、8兆円規模のウクライナ向け支援を決めましたが、これは前線向けというより後方支援、つまり国家再建への支援なのです。

一方、ゼレンスキー氏側から聞こえてきた「醜聞」が国民人気が高かったザルジニー総司令官を解任したこと。ウクライナは大統領選挙が本来であれば3月に行われるところでしたが、戦争中ということで休戦まで延期する公算が高いようです。その大統領選、国民の下馬評はザルジニー氏を88%を信用し、ゼレンスキー氏は62%に留まったのです。大統領選に誰が出馬するのかを論じるのはまだ早いですが、ゼレンスキー氏もプーチン氏と同様、大統領選に向けてライバルを無力化しているような余裕があるのかと聞いてみたいものです。

戦争は持久戦。プーチン氏は自身の3月の大統領選に向けて余裕の様子。昨日、元FOXテレビのホスト、Tucker Carlson氏がプーチン氏と開戦後初めてメディアと単独の2時間インタビューを行っています。インタビューそのものはメディアが「プーチン氏、カールトン氏にウクライナ戦争を講義(lecture)」と叩きまくっており、プーチン氏は明らかにリラックスした会見でした。その中でトランプ氏が大統領になったらという質問に「俺はトランプさんとは知り合いよ」と軽く答えています。客観的に見るとプーチン氏が勝つというより私はゼレンスキー氏の粘りがもう限界まで来ている、そのように見えてしまいます。

後記 来週水曜日から8日間東京です。今回もちっとも楽しくない超過密スケジュールで新宿区、渋谷区、港区、江東区に千代田区にしか行きません。コンベンションで商談もあるし、国をまたいだビジネスディール、更には教育関係の会議も2本あります。過密と言えばエアカナダのクルーが嫌がるのが東京便だそうで、理由は狭い機材で客は常に満席で忙しすぎるからと。客の大半は日本に行くカナダ人と中国に向かう中国人。理由は中国直行便がほとんどないので東京で乗り継ぎです。そりゃクルーだけじゃなくて客も窮屈なんですよ。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月10日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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