2020年1月、英マンチェスターの裁判所でインドネシア人留学生レイナード・シナガ(36)が終身刑を言い渡された。罪状は48人の男性に対する136件の強姦、8件の強姦未遂などを含む159件に上るが、犯行中に撮影されていた動画の解析により、被害者は少なくとも195人以上いるとみられている。この事件は英「BBC」や「Daily Mail」をはじめとした欧米メディア、そしてシナガの出身国インドネシアで“世界最悪のレイピスト”として大きく報道されている。
■泥酔させて家に連れ込み……
レイナード・シナガは英リーズ大学の博士課程に在籍する学生で、マンチェスター中心部のアパートに暮らしていた。彼は社交的で華やかなキャンパスでも人気のある学生であったというが、その裏では卑劣な犯罪を繰り返していた。
シナガは夜な夜なナイトクラブやバーをうろつき、酔いつぶれた一人客を狙って声をかけていた。友好的で人の良さそうな雰囲気は、被害者を自宅に連れ込むのに役に立っただろう。被害者の多くは若い白人男性で、そのほとんどは異性愛者であった。酒とレイプドラックで意識を失った被害者をシナガは激しくレイプし、さらにはその犯行の様子をスマートフォンで撮影した。翌朝目覚めた被害者の多くは記憶を失っており、彼の犯行が発覚することはなかった。
事件が発覚したのは2017年6月のことであった。被害者の一人が犯行中に意識を取り戻し、シナガのスマートフォンを奪って逃げ出し、警察に通報したのだ。シナガのスマートフォンや自宅からは3.29TB(DVD250枚分に相当する量)の動画が発見され、2015年からの2年半で少なくとも195人の男性が彼にレイプされていたことがわかったのである。
今回の裁判では48人の被害者に対する罪が問われたが、動画に映っていた被害者のうち70人はいまだに身元不明なままだ。シナガは裁判で自身の犯行を否認し、「レイプではなく、眠っているように見える相手とセックスするプレイだった」と主張し、反省の様子を見せなかったどころか、出廷した被害者が苦しんでいる姿を見て楽しんでいる節さえあったという。