一流企業も入ってからが大変

自分自身、大学を出て東京で働いていた。転職でコツを掴み、ポテンシャルを認められたことで東証一部上場の大手企業に入り、本来の実力より上の世界に行くことができた。世間的には「うまくいった」と言われるかもしれないが、一流企業は入ってからが大変だということを後で知ることになる。

優秀な東大卒、海外有名MBA大卒に囲まれて働くと、自分は「場違い」と感じる瞬間が何度もあった。完全に頭の回転速度が違うし、同じ情報に触れてもそこから引き出すデータ量がケタ違いだ。さらに体力もあり多少の残業でもびくともせず、逆境でも腐ることなく猛烈に仕事をする人を見て「これはどうやっても勝てない」と悟った。

優秀な人達の中で大したパフォーマンスを出せないと、自分がポンコツであることを突きつけられ、自信がなくなってしまうのだ。周囲からは「君は十分パフォーマンスを出している。自信を持て」と言われたこともあったが、エリートたちを見るとどう逆立ちしても叶わないパフォーマンスを出し続けていて、「自分はできる!」と考えることは難しかった。

しかし、ある日転機が訪れた。海外の大掛かりなITシステム統合を進めるプロジェクトがやってきたのだ。ITには元々関心が高かったし、英語は周囲より得意だったことで周囲が苦慮するこの仕事に自分はガッツリとハマった。結果、このプロジェクトでは自分は大きく活躍することができたのだ。普段、自分に対してかなり厳しくものいう先輩社員からも「君にはこの分野の才能があるね」とすごく褒めてくれて天にも昇る気持ちになった。

勝てる勝負しかしない

現在は独立して色々と仕事をしている。独立後はできそうな仕事は何でもやった。しかし、やってみてパフォーマンスが出せないものは全部やめて、周囲からの評価はどうあれ、自分自身が納得の行く結果が得られるものだけが手元に残っている。

「逃げるなんて情けない」と言われそうだが、人生経験を経て、「勝てない勝負はしない」というマイルールを持つに至った。負け続ける戦いを長期的に続けられるほど、人間は強くできていないのだ。頑張って自己満足的でも楽しい結果が得られることだけを仕事にするのである。だから、今やっている仕事も自分の望む結果が出せなくなったら、しがみつかずにスパッと即やめてすぐさま新しい仕事をする覚悟を持ってやっている。

勝てない勝負をしない、響きはなんとも悪いが人生も仕事も長く続く。どうせ頑張るなら、勝てる場所で勝てる勝負だけをして自己満足に浸る方が仕事は楽しい。つまり、適職とは数多ある仕事の中で勝てる勝負ということなのだ。

 

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