当日の釣況
スタート直後は小雨程度だったが、30分もすると海面に打ちつける雨音が騒音に感じるくらいの土砂降りになる。しかし、フグの活性は落ちることなく、群れが船下に入ると、船中至るところで竿が曲がっていく。
私も全身ずぶ濡れになりながら、出張続きで釣りができなかった期間を埋めるように、久しぶりのフグのアタリを存分に楽しむ。活性が高い状態では、釣りが雑になりがち。この日釣っていて感じたのは、食いが落ち着いた状況でのアタリの出方の変化について。
活性が高い状態は、フグは競ってエサを追いかけるため、アタリは大きく出やすい。一方、群れが抜け、エサをしっかり見てくるようになると、アタリも当然、小さくなっていく。
この時、気をつけたのは、まず誘いをていねいにおこなうこと。誘ったあとの仕掛けをストンと落とすのではなく、竿の穂持ちに仕掛けの重さを乗せながら、付けエサを周りにいるフグにアピールするイメージでゆっくりと着底させる。
そして、オモリ着底後は、仕掛けが海底で動かないように、ややマイナス気味のゼロテンションでステイ。このポジションを取った瞬間に、穂先が震えるような小さなアタリが出ることが多かった。
最終釣果
その後も変化する状況を見きわめながら、ポツポツと追加。最終的に、ショウサイフグ29尾とトラフグ1尾の計30尾。一段と雨脚が強まり、風も強まってきた13時すぎに早上がりとなった。
船中釣果は23~30cm12~30尾。ゲストにはマゴチやコウイカなどが交じり、悪天候のなかではあったが、アタリの多い一日となった。
絶品グルメを満喫
前川船長に今後の展望を聞くと「自然相手のことなので、毎日出船してみなければわかりませんが、この状態が安定してくれれば、しばらくは楽しめると思います。初心者でも、アタリをしっかり感じられるので釣って楽しいのはもちろん、食べて美味しいフグですから、ぜひ挑戦してみてください」と締めくくった。
遅れて推移していた白子シーズンを迎えた東京湾のショウサイフグ。船宿で可食部の身欠きの状態で渡してくれるので、帰ってからはテッサや唐揚げなど、好きな料理で楽しむだけ。
加えて今なら、食べて絶品の白子も期待できるとあれば、グルメアングラーはもちろん、フグ釣り初心者にも自信を持ってお勧めできる釣り物だ。
<週刊つりニュース関東版APC・田中義博/TSURINEWS編>
出船場所:横浜市・金沢八景