衛星ヶ丘展望台から全貌を眺めよう
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広大な敷地を誇る内之浦宇宙空間観測所ですが、まずは高い場所からその全貌を眺めてみましょう。敷地内で最も標高の高い場所にある衛星(ほし)ヶ丘展望台です。ここには直径20mという巨大なパラボラアンテナが置かれています。これは衛星追跡用のアンテナなのだそう。
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標高344mという高さの展望台から見えるのは更に巨大な直径34mという巨大なパラボラアンテナ。台風銀座でもある鹿児島県にあるため、最大風速90mにも耐えられる設計になっているそうです。そんな強靭な設計であるにも関わらず、周回衛星追跡のために方位角方向で毎秒5度、仰角方向で毎秒2.5度という高速で動かすことができるという優れモノ。
このアンテナの直下には探査機や衛星の監視を行うテレメータセンターがあり、昼夜衛星からのデータ取得や指令を飛ばしているのです。あの小惑星探査機「はやぶさ」からのデータもこちらで受信していたそうです。
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テレメータセンターの脇にあるのはコントロールセンター。ロケットの発射指令や点火制御などは全てここから行われています。
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そして海側へ視線をやれば、明らかにロケット発射台と思しき姿が!ここはM(ミュー)センターと呼ばれるMロケット発射台地で、標高は210mで面積が25,000㎡という広大な敷地内に発射装置やロケット組み立て室、衛星整備センター、発射管制室が構えられています。
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またロケット発射台はコントロールセンターの眼下の標高276mの位置にもあり、こちらはKSセンターの名が付けられています。ここから1970年2月に日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられたのです。こちらはドーム内にランチャーが格納されている形式。
発射の際にはドームの天井と排煙の為に前後の扉もオープンになるという仕掛け。メカ好きの男子にはこちらの方が興味深い仕組みかもしれませんね。ロケットの実物大模型も置かれていますよ。
Mセンターにも行ってみよう
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規模の大きい方のロケット発射台、Mセンターにも行ってみましょう。こちらは一旦入場ゲートから出て別の道から行くことになりますが車でのアクセスが可能です。このMセンターはあの小惑星探査機「はやぶさ」が搭載されたM-Vロケット5号機が打ち上げられた場所。
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発射台の脇にはM-Vロケットの実物大模型も展示されています。数々の実績を残し、糸川博士のペンシルロケットからの流れを組むM-Vロケットも2006年にその役目を終え、次世代型固体燃料ロケットであるイプシロンの発射台に改造されています。ここから更に日本の宇宙技術が発展していくことへの期待感と、あの小惑星探査機はやぶさが7年間60億キロという途方もない旅に出た地なのだということへの思いも馳せてみてはどうでしょうか。