経営陣自らも不正行為

 ビッグモーター問題での補償対応の本格化を控えるなか、新たな不正が浮上。損保ジャパンは競合他社との事前の保険料調整をめぐり昨年6月に金融庁から報告徴求命令を受けていたが、先月に外部の弁護士からなる調査委員会の報告書を公表。そのなかで、共同保険契約の更改の際、顧客である契約者への見積提示前に、競合他社との間で引受可能なシェアや見積保険料、保険料率、補償条件などについて調整を行うことが常態化していたことが明らかにされた。各損保会社内における保険契約の対象となる付保物件の評価額や、保険事故発生リスクの評価内容などの機微情報も共有されていた。従前からの各社の引受シェアを維持し、かつ保険料の値下げ競争を避けるのが目的であり、独占禁止法に違反する。

 団体扱保険料の割引率改定時における契約者への最大割引率の提示や、官公庁などの管財保険の入札でも、このような競合他社との事前調整を行っていた。

 経営陣自らも不正行為を行っていた。20年、新型コロナウイルス感染症に関する商品改定に際して、経営陣は約款などの情報を他社と交換し、他社から入手した情報を取締役を中心とした経営陣を含むメールチェーンでやり取りしていた。独禁法に違反するリスクがあることを法務・コンプライアンス部担当取締役が指摘したところ、当時の法務部門の管理職が賛同するかたちでメールチェーンを削除し、その後も情報交換を続けていた。最終的には社内で上記メール宛先の関係者に対してメールを削除する旨の指示が周知され、調査部の管理職がメールチェーンの内容を印刷し、自宅に持ち帰り保管していた。

 金融庁への虚偽報告も行っていた。23年8月、金融庁から保険料調整行為に関して報告徴求命令を受けた際、「独占禁止法に抵触するおそれのある行為」と「独占禁止法には抵触しないと考えられるが不適切な行為」について、該当する件数を極力少なく見せようと上記区分を変更するなどして金融庁へ報告。弁護士から合理性・妥当性について再三疑義を呈されていたにもかかわらず、それを無視していた。

 このほか、昨年10月、金融庁に対し、役員の不適切行為に関する認識についてのアンケート結果を提出する際、役員によるアンケートへの回答の一部を改変していた。法務・コンプライアンス部の担当者が改変していた。

 損保ジャパンと取引がある大手企業社員はいう。

「ウチの顧客には他の大手損保会社もいるが、他の損保と比べて、損保ジャパンはこちらの事情を考慮せずに無理な要求をしてくる傾向がある。一連の不祥事に関する報道をみていると、モラルや顧客の利益を二の次にして、とにかく自社の都合と利益を最優先させる会社なんだなあと改めて実感した」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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