私学助成金の不交付継続につながる可能性

 アメフト部の薬物事件を受けて国は、日大への私学助成金を全額不交付とすることを決定。今年の日大の入学志願者数は累計で前年より2万人以上、減少(夜間部を除く4年生大学)するなど、大幅な減収が見込まれている。日大が経営危機に陥る可能性はあるのか。

「資産が7000億円以上ある学校法人なので、すぐ経営危機になることは、まずありません。万が一、経営危機になったとしても回避は簡単です。東京の都心にある大学本部、法学部、経済学部、理工学部、歯学部のキャンパスのいずれかを売却し、別のキャンパスに集約すればいいのです。移転費用や建設費などを考えても、経営危機を脱することは十分、可能でしょう。

 今回の重量挙げ部の不祥事は、10年も不正を続いていた点では昨年の薬物事件以上に重いといえます。関係者の処分は当然ですが、私学助成金の不交付が継続される可能性が出てきました。私学助成金は不祥事が起きると不交付、ないし減額処分となります。もっとも重い不交付(100%カット)の場合、2年連続で続き、3年目に満額の25%が支給(75%カット)、4年目に50%支給(50%カット)、5年目に75%支給(25%カット)となり、6年目にようやく全額交付が復活します。

 日大は21年の田中元理事長と元理事の逮捕で不交付が決定し、ルールにより22年も不交付。そして23年は本来なら25%が復活となる予定でしたが、アメフト部の薬物事件やその後の経営陣の対立などでガバナンスが欠如しているとして不交付が継続することになりました。

 今回の不祥事は、学費などを一部の関係者が私的流用しており、それが20年も続いていたというものです。アメフト部ではなく、別の運動部でこのような不祥事が出て、しかも教育の公平・公正を損なうものです。文部科学省としては薬物事件やいじめ事件などよりも重く見るでしょう。関与した職員に役職者や大学教員、経営幹部がいた場合、より深刻な問題になります。よって、今回の不祥事は私学助成金の不交付継続につながる可能性が高いといわざるを得ません。

 日大ほど規模の大きな大学が3年連続で私学助成金の不交付になるというのは前代未聞です。今年も継続となると4年連続となるわけで、不名誉極まりないことです。メディアも大きく取り上げるでしょうし、そうなると24年入試と同様に志願者数の減少トレンドが続くことにもなりかねません」(石渡氏)