ファストフードチェーン「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」のモバイルオーダーをめぐり、受け取り時間の時間指定を設定した上で店舗に行くと、「店舗に到着」ボタンを押してから商品の準備が開始されたため店舗内で待ち時間が発生し、時間指定を設定した意味がなかったという声が一部SNS上であがっている。なぜ、このような仕様・フローになっているのか。運営会社の見解も交え追ってみたい。

 全国に1232店舗(2024年6月25日現在)を展開し、フライドチキン専門店チェーンとしては圧倒的な強さを誇るKFC。メニューとしては定番の「オリジナルチキン」1ピースが310円、「チキンフィレバーガー」が440円、「ポテトS」が290円、「ビスケット」が290円、「ナゲット5ピース」が480円、「コールスローS」が290円、「チョコパイ」が290円、「挽きたてリッチコーヒー」が270円、「チキンフィレバーガー」に「ポテト S」とドリンク類(M)が付いた「チキンフィレバーガーセット」が850円。「オリジナルチキン」や「ポテト」、バーガー類やドリンク類、「ビスケット」などを組み合わせた各種ボックス類なども販売されている。

 原材料価格やエネルギーコストの高騰を受けて外食業界で値上げが広がるなか、KFCは昨年2回にわたり一部商品の値上げを実施。「オリジナルチキン」は3月に260円から290円に、10月には290円から310円に改定され、1年の間に50円、約2割の値上げが行われた。

 KFCは経営面では大きな転機を迎えている。米投資ファンドのカーライル・グループは5月、TOBをはじめKFCの運営会社である日本KFCホールディングスの筆頭株主だった三菱商事などから株を買い取り、日本KFCを買収すると発表。9月をめどに完全子会社化する。

実際のモバイルオーダーの操作フロー

 そのKFCは今年4月にアプリとホームページをリニューアルしていたが、アプリ上の一機能であるモバイルオーダーをめぐり前述のような声が出ているのだ。実際にモバイルオーダーの操作フローをみてみると、トップページから「会員証」―「ログイン」―「会員登録をする」と進み、氏名、氏名(フリガナ)、メールアドレス、携帯電話番号を入力して「会員登録する」ボタンを押下。続けて「注文する」―「お持ち帰り」と進み、利用する店舗を見つけて「この店舗で予約する」ボタンを押下し、受け取り日時を選択し「メニューに進む」ボタンを押下。「メニュー」のなかから注文するメニューと数量を選択し「カートに追加」で追加していく。すべて登録したら「カートを見る」―「レジに進む」を押下していき、「お支払い方法を追加」ボタンを押して決済方法を選択。「注文を確定する」ボタンを押すと注文完了ページが表示され、受け取り時間に店舗へ行き、再びアプリ上で「店舗に到着」ボタンを押すと商品の準備が始まる。

「マクドナルドのモバイルオーダーでは『注文を確定する』ボタンの下に『注文をキャンセルする』ボタンがあるが、KFCのアプリではどこにもキャンセルボタンが表示されず、途中でキャンセルをしようとするユーザが戸惑ってしまう可能性がある。また、過去に会員登録をしたユーザが注文の操作を進めていると、途中でログインを求められて、メールアドレスとそのメルアドに送信されるワンタイムパスワードの入力を求められることがあり、普段あまりスマホでメールを使っていない人はワンタイムパスワードを見ることができずに途中で注文を断念するケースもあるかもしれない。このほか細かい点では、マクドナルドのアプリはトップページの一番上にモバイルオーダーのボタンが表示され、KFCはそうなっていない。アプリを開くユーザの多くはモバイルオーダーを利用しようとしているので、ユーザビリティーの観点ではマクドナルドのUIのほうがユーザにとって親切」(ウェブサービス企業SE)