異彩を放つ大発明家のニコラ・テスラだが、彼の研究生活の中で片時も頭を離れなかったものがあるという。それはエジプト・ギザの大ピラミッドだ。
■テスラの頭を離れなかったピラミッド
今日の交流式送電技術をはじめ、スマートフォンやWi-Fi通信の礎にもなる数々の重要な発明を成し遂げた稀代の発明家、ニコラ・テスラ――。その研究と発明の人生の中で終始頭を離れない懸案事項があったという。それは“ピラミッド”だ。なぜ彼はそれほどまでにピラミッドに心を奪われていたのか。
確かにピラミッドの存在は考えれば考えるほど謎が膨らむ。誰が何の目的で、そしてどのようにして建造したのか、現代の科学調査をもってしても全容の解明にはまだ程遠いと言わざるを得ない。
テスラはピラミッドがより高いレベルの目的に役立つものであると信じて、その生涯を通して調査していた。テスラはピラミッドの何に魅かれていたのか。実はピラミッドが巨大なエネルギー送信機なのではないかと考えていたのだ。これはエネルギーを無線で送信する技術を研究していたテスラの興味関心と一致している。
1905年にテスラは「自然媒体を通じて電気エネルギーを伝送する技術」というタイトルの米国特許を出願し、エネルギー収集のために世界中の電離層を利用する一連の発電機の設計を立案している。彼は2つの極を持つ地球自体を、無限のエネルギーの巨大な発電機と見ていた。その独特な四角錐のデザインは、テスラの“電磁ピラミッド”として知られるようになった。つまりテスラはその時代の最先端技術でエネルギー送信機としてのピラミッドを再現しようとしたのだ。
「これから科学は非物理現象の研究をスタートします。10年後には過去数世紀よりも多くの進歩を遂げます」とテスラは当時語っている。
テスラによれば、エジプトのピラミッドがその形だけでなく、建造された場所がフォースを生み出しているのだと説明している。
彼は、コロラドスプリングスの特別な実験室で盛んに実験を行い、またニューヨーク州ロングアイランド・ショアハムに建設した高さ57メートルの巨大な電波塔「ウォーデンクリフ・タワー(Wardenclyffe Tower) 」、またの名を“テスラタワー”で地球のエネルギーフィールドを活用する実験を行っている。
エネルギーの無線伝送を目的としたウォーデンクリフ・タワーが建設された場所は、ギザのピラミッドが建設された場所から地球の楕円軌道と赤道との関係を計算して割り出した場所であった。
残念ながらこの電波塔での実験は実を結ばなかったが、自らの手で“ピラミッド”を建造しようという熱意が生涯途切れることはなかったのである。