■そもそも「タンブリン」って日常で使う?
今回のツイート投稿の経緯について、古長さんは「小学2年生の娘の宿題の丸付けをしていた際、こちらの回答を発見して『丸をつけられない』と娘に伝えたところ教科書を差し出され、『タンブリン』表記が正しいと分かりました。私にとっては新たな発見でしたので、ツイートした背景になります」と振り返る。
念のため、Sirabee編集部内でも前出の問題を共有したところ、やはり回答は満場一致で「タンバリン」で、屈辱の正答率0%という事態に…。
なお「タンバリン」をタイトルに冠した楽曲を持つアーティスト、バンドは数多いが、じつは童謡に『へい!タンブリン』という楽曲が存在したりと、日常生活の中で「タンブリン」表記と出会う可能性は決してゼロではないのだ。
■驚くほど長かった「タンブリン」の歴史
続いては「タンブリン」表記が採用された経緯について、文化庁学校芸術教育室に詳しい話を聞いてみる。
すると担当者は「結論から申し上げますと『タンブリン』表記決定までの背景、理由や使用開始時期、『音楽』『国語』など教科を問わず、小中高における全ての教科書内で採用されているかどうかまでは分かりかねます」と前置きしつつ「タンブリン」がじつに長い期間、教科書内で使用されてきたことを明かしてくれたのだ。
この世には大小さまざまな「基準となるルール」が存在し、それは教科書も例外ではない。文化庁担当者は、今回のケースについて「音楽関係刊行物および音楽科の検定教科書において用いられる表記の拠り所とするため、文部科学省により定められた『教育用音楽用語』というものがあり、直近で平成6年(1994年)に改定されております」「こちらは教育用音楽用語に関する調査研究協力者らによって改定されたものになります」と、説明している。
つまり「タンブリン」表記は今から28年前に定められたのか…と思いきや、文化庁が公開している昭和53年(1978年)改定時の「教育用音楽用語」資料を見ると、やはりこちらでも「タンブリン」の表記が使用されていたのだ。

そのため、日本の学校教育の場では約50年、もしくはそれ以上に渡って「タンブリン」という表記が基準となっている可能性が高い。
なお現在では「ベートーヴェン」「ヴァイオリン」といった表記も珍しくないが、当時の資料ではそれぞれ「ベートーベン」「バイオリン」となっており、「ヴ」の音を極力用いないようにしていることが伺える。
しかし断っておくと、これらの表記は「絶対」ではなく、あくまで「基準」。文科省からも「教材内における表記に関しては、各学校や教員の判断に依るものが大きいです」という回答が得られたのだ。
いち個人としては、教育現場に携わる人々には「タンバリン表記だからバツ」といった理不尽な指導でなく、「タンバリンもタンブリンもどちらも正解」という、柔軟性や多様性を尊重したスタンスを大事にしてほしいのだが、果たして…。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
提供元・Sirabee
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