改変めぐるトラブル、あとを絶たない

『セクシー田中さん』の問題を受け、原作者が映像化において制作サイドに改変されたとされるケースがクローズアップされている。

 22年に放送された『霊媒探偵・城塚翡翠』で、原作の改変に原作者が難色を示し、途中で原作者自ら脚本を執筆するという事態が発生。当時、原作者である相沢沙呼氏はX(旧Twitter)上に<四話、脚本をまるっと書かせて頂きました>(同年11月6日)とポストしていたが、相沢氏は今回の『セクシー田中さん』の問題を受けX上で次のようにポストしている。

<約束通りにしてもらうこと、原作を護るためにしたこと、そうした諸々の奮闘が『揉めてる』『口出し』『我が儘』みたいに悪く表現されたときが凄く哀しかったし、契約の縛りで実際になにがあったのかを言えないのは本当にしんどくて、自分が悪者になったような気持ちに陥ったのを思い出しました>(1月30日)

 また、1997年にフジで放送された『いいひと。』(制作:共同テレビ・関西テレビ)で、制作サイドは原作漫画の作者、高橋しん氏との間で取り交わしていた、主人公のキャラクターや設定を変えないという条件を破り、改変して放送。これを受け高橋氏は「多くの読者の方に悲しい思いをさせてしまった」(高橋氏の漫画制作事務所「高橋しん・プレゼンツ」公式サイトより)ことに対し責任を取るかたちで、当時「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載中だった同作の連載を終了させていた。

 当時、高橋氏はその理由について「高橋しん・プレゼンツ」公式サイト上で次のように説明していた(以下、原文ママ)。

<終了を決めた直接のきっかけは、テレビドラマ化でした。関西テレビ・共同テレビのかたにドラマ化の許可を出すための条件の中に、ゆーじと妙子だけは変えないこと、という一文がありましたが、多くのかたが感じたように、ゆーじは変え「られて」いました。私は、もうこれ以上わたし以外の誰にも変えられずに、読者の方々の中の「いいひと。」を守ること、そして同時に多くの読者の方に悲しい思いをさせてしまった、その漫画家としての責任として私の生活の収入源を止めること、その二つを考え連載を終了させようと思いました>

 そして、前述の『海猿』の映像化でも同様の事例が。原作者の佐藤氏は前出「note」記事内で以下のように綴っており、脚本を確認させてもらう機会すら与えられなかったと明かしている。

<映像関係者には一人も会いませんでした>

<脚本? 見たことがありませんでした>

<好きなようにされていました。作品が自分の手から奪われていく感覚がありました>

<映画はDVD化されてから観ました>

<僕が漫画で描きたかったこととはまったく違いました>