ロシアは国際法に違反しているが、ウクライナをEUやNATOにいれるのは相当な地政学的無理があり、いかに戦闘に勝とうが、いかに国際法をたてにとったとしても、それで長く安定することはあるまいし、安定しなかったら一時的には望んだようになっても、勝ったことにはならない。

ここが非常に大事なのだが、法律はそれを盾にとって戦う口実にはなるが、求める結果に無理があっては、満足できる結果は得られないということだ。仮に満洲独立が合法的に行われても、華北進出が国際法に違反しなかったとしても、大陸にそんな国を長く維持することが出来たとは思えない。日本が戦争に負けたのは、国際法で立ち場に無理があったからだけではない。

日本が欧米側につくのは当然で、反対でないが、いちばん後ろにつき、かつ、仲介出来る立ち場を失うべきでなかった。安倍さんならそうしただろう。

また、岸田政権の尹錫悦大統領へのてこ入れも不足だ。さらにあきれたのは、いわゆる保守派が韓国は政権がどうなろうと同じだからと冷たかったことだ。以前にも指摘したが、親韓派といわれる松川議員のちょっとした脇の甘さを大スキャンダルに仕立て上げたのもむしろ日本の保守派で、そこには韓国与党へのてこ入れを止める意図があった。

欧米がウクライナから引き上げる時に、日本が金だけ出すような羽目だけにはなりたくない。岸田首相にはワシントンで変なこと約束してこないでもらいたい。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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