評決でもトランプ氏の評価は変わらない
トランプ氏の不倫口止め料事件の評決があり、起訴罪状34件すべてが有罪となりました。量刑判断は7月11日に下されます。それなりの量刑になると思いますが初犯なので刑務所入りはないでしょう。今回の結果はある程度予想できていたこともあり、国民の受け止め方はクールで投票へのスタンスが微妙に変わる人もいる、という程度です。アメリカは罰点がついた人の再起を支援する思想が強いため、「これで彼も改心するだろう」ぐらいでしょう。
当のトランプ氏は当然控訴するし、政治的に重大な意味を持つ他の3つの刑事裁判は11月の大統領選までに大きな動きはないとみられています。よって仮にトランプ氏が大統領に就任したのち、それらの裁判がどのような展開になろうとも「俺は現職の大統領」という立場で有利な展開を図るでしょう。プーチン氏もネタニヤフ氏もそういう意味では今のポジションが彼らを守るのです。トランプ氏も莫大な弁護士費用をかけてでも大統領のポストが欲しいのは自身の人生を賭けているからです。国民はトランプ劇場にいつの間にかズッポリ引き込まれているとも言えます。
一方のバイデン氏はこれだけ自分に有利な条件が揃っていながら支持率がさっぱり上がらない事実をどう受け止めているのでしょうか?せめて副大統領候補にバイデン氏の分身になれるような人材を持ってくれば民主党支持者には大きな安心感となるでしょう。しかし、それを彼はしないのです。そういう意味ではトランプ氏もバイデン氏も保身的であり、周りを見渡す余力がないと感じます。バイデン氏に10年後の話をしても「生きているかどうか」という話です。その人に一国を預けられますか、と聞いてみたいです。
岸田首相の術中政治資金規正法改正について岸田首相が「首相判断」で公明と維新を取り込みました。そんな気はしていました。公明が途中で駄々をこねた時点で首相の大局観はこの改正法案を「なるはや」で通し、自民党の膿の根源を出し切らねば何も新たなことができない、よって多少の譲歩は首相の腹案として当然あったと思うのです。特にパー券購入者公開が10万円か5万円かという議論はもともと大した話ではなかったのに自民の交渉側は奇妙なほどそれにこだわったのです。私はむしろ「出来レース」で最後、首相に花を持たせるつもりだったのではと勘繰りたくなるほどでした。
いずれにせよ、これでこの法案改正は今国会で通過、国会の会期延長もありません。つまり6月23日で終わりです。一部の政治コメンテーターが「会期延長はマスト」と自信満々に述べていたのが不思議であります。岸田氏の仕事ぶりはいつも「時間厳守」でコトを片付けてきています。極めて日本人的性格で政治に長けた策士であります。もちろん都知事選の候補者も出せないのに解散などないでしょう。
では岸田氏は何を考えているのでしょうか?秋の総裁選までにポイントをあと2,3稼ぐのだろうと思います。北朝鮮に行くのかもしれません。国内向けにも今の定額減税だけでなく、もう一つぐらい餅を撒く気がします。併せて壊れかけた自民党組織をどう再生するか、その手腕の見せ所でしょう。特に今回の政治資金規正法の首相判断は麻生氏と茂木氏との間に亀裂が生じたともいわれています。ただ、両名とも顔に出さない打算があるはずです。亀裂を利用しながらも岸田氏とつかず離れずの関係を維持するメリットもあるはずで、自民党自体が魑魅魍魎、化かし合いの世界と変わりそうです。岸田氏の術中通りに行くか、いよいよお手並み拝見というところです。
後記 会社の会長職は社外の渉外などを中心に自社との間接的利益を求める職種ですが、私も年齢がそうさせるのでしょうか、時間の半分はそういうことに費やしています。また解けない問題やチカラ技の仕事などばかりをやっているので自分の仕事が何屋だかわからなくなることも多くなりました。基本は世代間のつなぎ役とコミュニティ支援を中心に据えています。「そんなこと一銭にもならへんでぇー」と言われますが、仕事はお金のためにするわけじゃない、自分が世の力になれるならそれを後押しする努力こそ私の存在を肯定するものだと思います。哲学的すぎるかな?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年6月1日の記事より転載させていただきました。
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