「ライダーハウス」は、1980年代に北海道で誕生したと言われる、安価で簡易的な宿泊施設です。民家などで解放されていることが多く、旅人同士の交流が生まれやすいためツーリストに人気です。今回は、北海道有数の交通拠点「千歳」で約30年に渡って旅人を迎え続ける「ちとせライダーハウス」を紹介します。

店舗兼住宅を再生

「ちとせライダーハウス」は1996年にオープンしました。千歳と支笏湖を結ぶ道道16号の近く。セブンイレブンと岩塚製菓千歳工場直売所が目印です。オーナーの藤本きえさんは元美容師。現在は親子でライダーハウスを運営しています。まずは受付を済ませましょう。藤本さんが不在の場合は、窓に貼ってある番号に電話するか、近くの自宅を訪ねてください。

ライダーハウスの雰囲気は昭和時代の住宅そのもの。思わず「ただいま」と言ってしまいそうです。「この建物は店舗兼住宅でした。サロン(美容室)を廃業した際に取り壊す予定でしたが、主人がバイクに乗っていたこともあり、『せっかくだから有効に活用しよう』とライダーハウスに転用しました」

ちとせライダーハウスは住宅地にあります。「バイクの音がうるさい」と、ご近所からクレームが入るのではないかとハラハラします。そんな心配に藤本さんは「オープン以来、一度もクレームはありません」と笑います。千歳の上空には、いつも旅客機や戦闘機が飛び交っているので、多少の音は慣れっこになっているそうです。

一階は客室とキッチン、二階はすべて客室になっています。冷蔵庫と電子レンジは自由に利用できます。徒歩圏内にコンビニが3つもあるので、買い物に困ることはありません。ただし浴室やシャワーの設備はなく、近所にあった銭湯も廃業したので、到着前にどこかで汗を流してきた方がよいでしょう。

フェリー利用者も安心「専用部屋」を用意

千歳という場所柄、ライダーハウスには様々なお客さんがやってきます。一番多いのはフェリーを利用するツーリストです。苫小牧西港からは八戸、仙台、大洗、名古屋、東港は秋田、新潟、敦賀に就航しているので、全国から旅人が訪れています。

フェリーは、早朝や深夜に発着するため、時間によって他のお客さんの眠りを妨げてしまうことがあります。しかしここでは心配ご無用。なんと「フェリー専用部屋」があるのです。店舗兼住宅という構造を活かして、出入口を別にする工夫も取り入れられています。これなら気兼ねなく利用できますね。