会社の報告書やレポートに使用するなら、これほど合理的で無駄のない文章の書き方はありません。「5W1H」を意識した報告書を書いてみます。仕事上の トラブルが発生し、社内に共有する目的だと仮定します。

<例:ホワイト食品乳業(仮称)とのトラブルについて> 昨日の14時(When)に、ホワイト食品乳業(Where)に納品された商品に不良品が混入している(What)ことが、明らかになった。営業担当の清水(Who)が16時に訪問し、総務部田中課長に謝罪(Who)をした。不良品は速やかに回収し、明後日までに再納品することで合意(How)した。原因は調査中でわかり次第報告する(Why)。

「5W1H」が報告書向きであることがわかります。ロジカルに書かれているので、ことの顛末が第三者にもよくわかります。事実を淡々と伝えれば、基本的な報告書は完成します。

「ロジカル」で感動は生まない

ビジネスの世界では、「5W1H」を意識してさらにロジカルを意識することで、ビジネスを潤滑に進めることができるという人がいます。また、このように伝えられる人が「デキる」と評価される向きさえあります。しかし、それは幻想です。

ロジックやロジカルは相手を説得したり、事実を客観的に伝えるためのフレームワークにすぎません。そこからは何も価値は生み出されません。どの会社にも、必ず「ロジカル・バカ」みたいな人がいますが、人の気持ちはロジカルでは動きません。

テーマが「裏金疑惑」だろうが、「経営課題」だろうが、「サザエさん」だろうが、ロジカルに説明することはできます。ただそれはあくまでも、報告書という体裁の場合だけです。

ニュースの報道も「5W1H」ですが、これは事実を端的に伝えるため。視聴者を感動させる要素は必要ありません。ロジックやロジカルにだまされてはいけないのです。

繰り返しますが、人に伝えたいと思うならロジカルではなく、感情に訴えて「共感」を生み出すことが必要になります。社内の「ロジカル・バカ」には気をつけてください。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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