組込型金融と組込型会計で顧客体験を革新する

R365とToastのいずれも組込型金融と組込型会計を統合することによって、さらに顧客体験を革新している。この統合によるR365のオールインワン型プラットフォームの機能拡充は著しい。

組込型金融とは、API連携によって非金融事業者のサービスに銀行サービスを組み込むことだ。組込型会計とは、同様にAPI連携によって簿記や会計機能が呼び出せることだ。これによって、銀行サービスに切り替えて呼び出す必要がなくなる。また簿記会計ツールを別途、用意してデータを入力しなおす手間を省くことができる。

R365やToastなどのプラットフォームアプリ内でシームレスにデータを管理することで、業務横断的なデータ分析ができるというメリットも大きい。

API連携とマイクロサービス化で進む飲食業界向けDX

Image Credits:Restaurant365

R365のようなオールインワン型を目指すアプローチからポイントソリューションまで、米国の飲食業界にはR365の競合がひしめいている。

しかし米国の飲食業界においては、競合になるよりもむしろ協業を促す強力なバイアスが働いている。理由は単純に、1社のソリューションで網羅するには飲食業界は広すぎるからだ。オールインワン型の雄であるR365ですら、もともとはバックエンド業務に強みを持っていた。多様な強みをもったベンダー群のエコシステムによって、米国飲食業界のDXは発展を続けると思われる。

それをテクノロジーの面で支えるのがAPI連携とマイクロサービス化だ。R365やToastに限らず、現代のクラウドネイティブアプリケーションは、マイクロサービスと呼ぶサービスのモジュール化とAPI連携が大前提だ。

米国飲食業界向けDXは、API連携とマイクロサービス化によって、オートメーションDXとして発展を続けるだろう。

(文・五条むい)