飲食業界向けにオールインワン型の業務管理プラットフォームを提供する米国カリフォルニア州のRestaurant365(以下、R365)は今年5月、1億7500万ドルの大型資金調達を発表した。

この資金調達は12四半期連続で販売目標を上回ったという成果に続くものだ。R365は昨年5月に実施された1億3500万ドルの資金調達以来、評価額10億ドル以上のユニコーン企業として認められている。

「従業員トレーニング」「タスク管理」を新たに発表

Image Credits:Restaurant365

今年5月、R365はシカゴのマコーミックプレイスで開催された全米レストラン協会(NRA)ショーのブースで、新製品と新機能を発表した。

このうち「従業員トレーニング」は、R365が買収したレストラン向けトレーニングプラットフォーム「ExpandShare」によるもので、AI駆動の教材作成とナレッジベースによって従業員の効果的なスキルアップを支援する。「タスク管理」は従業員のコミュニケーションのハブになることで、組織全体の生産性向上を支援するというものだ。

飲食店のバックヤード業務向けプラットフォームを提供していたR365は、このように自社開発、買収およびパートナーとの提携によって、いまや顧客体験をつかさどるフロントエンド業務までを統合したオールインワンDXとして発展してきた。

規模を問わずR365のオールインワン型プラットフォームの導入によって、一気通貫の飲食店DXが完成する。米国の飲食業界向けDXは、いまや「DXオートメーション」の様相をみせているのだ。

Toastとのアプリ統合により飛躍をとげたR365

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今回の資金調達は、R365の長期パートナーであるICONIQ Growthが主導し、KKRやL Cattertonなどが参加して行われた。R365は今回の発表において業績は昨年度より向上したとしか述べていない。しかし昨年5月には、R365がすでに4万店以上の飲食店にソリューションを提供しており、収益は1億ドルを超えたことを明かしている(参考)。

R365は積極的なソリューションの拡張を進めているが、昨今の飛躍は戦略的パートナーであるToastとのアプリケーション統合によるものだろう。

顧客体験をつかさどるフロントエンド業務は、API連携したToastのプラットフォームが管理する。

Toastが2021年に実施したIPO(新規公開株式)は、その年の最大規模となった。ToastはPOSソリューションを提供するが、それは単に製品としてのPOSの提供に留まらない。R365とToastのソリューションには似ている部分があるが、この統合においてToastは、飲食店のフロントエンド業務全般を担っている。