6月4~7日の期間、台湾・台北市にて開催された台北国際コンピュータ見本市『COMPUTEX Taipei 2024』。36カ国・地域から1,500社が出展企業として参加し、AI活用によって世界的な社会課題の解決に挑むスタートアップが集結した。

会場で筆者の目を引いたのは、Fortune AIがてがける、プールの監視を手助けするAIソリューション「SAFE SWIM」だ。水泳事故を防止するためのAI警告システムであり、会場では展示のほか、InnoVEX ピッチコンテストにも参加していた。

Fortune AIのSAFE SWIM、InnoVEX ピッチイベントに参加

WHOによると、「溺死」は不慮の事故による死亡原因として第3位に挙げられており、世界中で毎年23万6,000人が溺死で亡くなっていると推定されている。またこれらの死亡者のうち50%強を30歳未満が占めており、溺死は5~14歳の子どもの死亡原因として世界で6番目に多いという悲しい事実もある。

またライフガード(監視員)の人数不足も世界的に深刻で、昨年アメリカではライフガード不足のため1/3の施設が閉鎖されており、今年も同様の傾向があるという。

水泳事故は予測不可能なことも多いうえ、長時間勤務で疲労を招きやすいなど、広い設備や大勢の利用者に対して十分な人数の監視員を配備することはそう簡単なことではない。このような世界的な課題を克服すべく、テクノロジーの活用が注目されている。

プール内のリスクを特定するAIシステム「SAFE SWIM」

SAFE SWIMは、既存のカメラと組み合わせて利用が可能なAIソリューション。撮影機材で得た映像データをAIが解析し、プール内の人が泳いでいるか、立っているか、浮き輪などを使って泳いでいるか、おぼれかけているかなどをリアルタイムで監視する。危険を察知した際には、ライフガードの持つデバイスに素早くアラートを送る。なおアラートは、複数のエリアで同時に発生しても機能するという。

人の目だけではなかなか判断しきれない潜在的なリスクもAIが瞬時に特定し、即座に監視員へ場所とリスクを伝えることで、監視員はすぐに救助に向かうことができる。人間とAIが協力しながら、プール利用者の安全を守るという体制だ。すでに台湾では複数のプールで導入済みであり、より精度の高い判定ができるよう日々アップデートされている。

プレゼンテーションのビデオでは近くにいる大人よりも早く子供がおぼれそうになっていることを警告