【人との関係性を変えるコミュニケーションとは?・3】一緒に仕事をする相手によって、やりやすいと感じる場合もあれば、やりづらいと感じることもあります。例えば、こんなことを思ったことはありませんか。「この人と話しているとイライラするな」「なんで、いつも話しが長いんだろう」「こんなきつい物言いをしなくてもいいのに」など。こんな時、どんなことを思うでしょうか。自分のせいだと感じたり、相手のせいだと思ったり、あるいは相性の問題だと考えたりしないでしょうか。
無意識のうちに自分を基準に
これはもしかしたら、無意識のうちに自分を基準にしたコミュニケーションをとっていることが、背景にあるかもしれません。髪の色や目の色などが人によって違うように、コミュニケーションもとり方も、人それぞれに違います。ですから、全員に同じようなコミュニケーションを取ると、時に、緊張、抵抗、対立、不満、齟齬、ストレスといった問題が生じてしまうのです。
今の世界は、価値観の多様化、グローバル化が急速に進んでいます。そのため、今まで以上に、相手によって「テーラーメイド」なコミュニケーション、マネジメント、リーダーシップが求められるようになってきています。逆にいうと、相手によって関わり方を変えることで、効果的なコミュニケーションが取れるように、また、相手との関わり方の可能性が広がるようになるのです。
四つに分かれる人のコミュニケーションタイプ
とはいえ、漠然と相手によって「テーラーメイドなコミュニケーションをしよう!」と思ったところで、実際には何から始めればいいか分かりません。そこで、心強いツールの一つとなるのが、コーチ・エィが独自に開発した「タイプ分け」(著作権はコーチ・エィに帰属)という考え方です。
タイプ分けは、「人をもっとも特徴づけるのは、他者とのコミュニケーションである」という前提に立ち、臨床心理学、組織行動学などをベースにつくられたコミュニケーションの分類方法です。「感情表出」と「自己主張」という二つの軸で、コミュニケーションのタイプを四つに分けて考えます。二つの軸は、企業に勤める2万人(20歳以上)を対象に、対人関係やリーダーシップに関する調査を実施し、その結果から導き出されました。相手のタイプを知ることは、スムーズなコミュニケーションをとるための指針となります。それぞれのタイプの特徴を紹介します。
コントローラー:行動的で自分が思ったとおりに物事を進めることを好む
「コントローラー」が最も重要視するのは、自分が物事を「判断」できる環境にあるかどうかです。「判断」する自由やそのための材料を奪われてしまうと、コントローラーはとても大きな負荷を覚えます。
プロモーター:アイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好む
「プロモーター」は人から注目されることが好きなタイプで、人に「影響」を与えることを大切にしています。場を仕切る役を任されるなど、周りから関心の目が向けられている状態を好みます。また、話好きで、「最近、どう?」と聞いただけで、いろいろと話し始めます。話の展開が非常に早く、一つのことを話していたかと思うと、次の話題に移っているということも多々あります。話の中で、「バシッといこう!」「グッとくるような」といった擬態語、擬音語の表現や、身振り手振りが多いのも特徴です。
サポーター:他人を援助することを好み、協力関係を好む
「サポーター」は、人を援助することを好み、協力関係を大事にします。また、人の立場に立ってものを見るのが得意で、気配り上手です。円滑な人間関係の中で、「合意」を取りながら物事を進めていくことを望んでいます。「ギスギスした人間関係」は最も避けたいものの一つで、とにかく「和」を構築するように行動します。
アナライザー:行動に際して多くの情報を集め、分析、計画を好む
「アナライザー」は、行動の前に多くの情報を集め、分析し、計画するタイプです。「まぁ、いいか。ちょっとやってみよう」といって新しいことを始めたりはしません。常に慎重に構えて、完全を目指します。「正確でありたい」、それがアナライザーの根本的な欲求です。