■腐乱死体が発見されるも謎は深まる
失踪を説明するいくつもの仮説が浮上し、その1つは彼らが川に泳ぎに行って全員溺死したかもしれないという説だったが、近くの小川沿いのどこにも遺体は見つからなかった。
キャンプを装って夜逃げをしたのだという話も取り沙汰されたが、家族には大きな借金もなければ、脅迫を受けていたという事実もなく、絵に描いたような幸せな家族であった。カウデン家の失踪は、オレゴンの歴史の中で最も奇妙な失踪事件の1つになり、当時のメディアを賑わせるニュースとなった。
そして事件から7カ月以上が過ぎた1975年4月、2人のハンターがこのエリアの森林地帯で猟の最中に人間の遺体らしきものを見つけて警察に通報した。
現場に駆けつけた当局は、成人男性の腐敗した遺体を確認しカウデン家の主、リチャードであることが特定された。その後、現場近くの洞窟で妻、ベリンダと2人の子ども(デイビッド、メリッサ)の腐乱死体も発見されたのだ。
検死の結果、デビッドとベリンダの2人の死因は22口径の弾丸による銃撃で、メリッサも頭部に致命的な外傷を負っていた。リチャードの遺体はかなり腐敗が進んでいて死因の特定は難しかったが、他の家族と同じく銃撃で殺害された可能性が高いと判断された。
遺体の発見当初は一家心中が疑われ、リチャードが家族3人を殺害した後に拳銃で自殺したのではないかと考えられたが、現場付近を徹底的に調べても拳銃は発見されなかった。もちろん最初の捜索でも拳銃は発見されていない。
次に、偶然に出くわした凶悪犯の犠牲になった可能性が検証されたが、動機などを考慮するとそれも考えにくい線であった。金品などが盗まれていないのである。
ひとつ考慮に入れておかねばならないことは、1960年代から70年代は若者の間でヒッピームーブメントが全盛を迎えており、特に夏のキャンプ場などではそうした集会が多く行われていたことだ。こうした集会のほとんどで薬物が使われていたことは言うまでもない。
当局が最終的に容疑者としたのが別の殺人事件と強姦事件の容疑者であるドウェイン・リー・リトルであった。失踪当時、カウデン家のキャンプ地の近くでリトルがガスボンベを購入していたことが判明していた。
しかし、カウデン家の事件にリトルが関与しているというそれ以上の証拠や証言はなく、1980年に殺人とレイプで有罪判決を受けたものの、カウデン家の事件との関連は不問に付された。
失踪事件や行方不明事件はさまざまな予期せぬ顛末を辿るが、遺体が発見されてさらに謎が深まるケースは珍しいのかもしれない。その日、キャンプ場でいったい何が起こったというのか、今なお有力な手がかりが1つとしてみつかっていないのがこの「カウデン家失踪事件」である。
参考:「Mysterious Universe」、ほか
関連キーワード:殺人事件, キャンプ, ヒッピー, 行方不明, 集団失踪 文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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