不可解な行方不明事件の中には、身元が割り出されてからさらに謎が深まるケースがある。米オレゴン州でキャンプ中の一家全員が忽然と消えた「カウデン家失踪事件」もそのひとつだ――。

■夏山でキャンプを楽しむ一家が失踪

 一人の個人がある日突然いなくなるという失踪事件はミステリアスではあるが、事件に巻き込まれたなどいくつもの可能性がすぐに思いつく。しかし、その一方でグループ全員がそっくり消失してしまう集団失踪事件は混迷の度合いも深い。かつて米オレゴン州でキャンプ中の一家が忽然と消えた「カウデン家失踪事件」は、今もなお解明の糸口すらつかめていない不可解な未解決集団失踪事件である。

 米オレゴン州ホワイトシティ在住のカウデン家は、父親のリチャード(当時28歳)、妻のベリンダ(当時22歳)、5歳の息子のデイビッド、5カ月の娘のメリッサの4人家族であった。

【未解決】キャンプ中の一家が忽然と消えた「カウデン家失踪事件」! 恐ろしい遺体発見でさらに深まる謎
(画像=リチャード(右)、ベリンダ(左) 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

 一家は1974年のレイバー・デー(労働者の日)を前にした週末の8月30日(金)から9月1日(日)までの旅程で、カリフォルニアとの州境、シスキュー山脈にある国有林キャンプ場で余暇を楽しむことにしたのだった。

 キャンプ最終日の9月1日の朝9時頃に、父親のリチャードとデビッドがキャンプ場近くの町の雑貨店でミルクを買っている姿が目撃されている。そしてこれがカウデン家の最後の目撃証言であった。

 予定では、キャンプ最終日に徹収作業を終えてから、キャンプ場のほど近くに住むベリンダの母親の家に寄って夕食を共にする計画であった。しかし約束の時刻になっても娘家族はやって来ない。

 心配した母親は、家族の様子を見に車でキャンプ場に向かった。一家がキャンプをしている現場に着くと、撤収作業はまったく行われておらず、ピクニックテーブルの上にはミルクのボトルが置かれ、まだ赤ん坊のメリッサのおむつとベリンダの財布もあった。その近くには、家族の車が停車していた。

 ちょっとした散策に出かけた家族全員が今にも姿を現しそうだったが、依然として誰も戻ってくることはなかった。母親はキャンプ地の周囲を少し歩いて捜索してみたのだが、小川の岸にリチャードの時計と財布が落ちているのを発見してさらに心配は深まった。一家はいったいどこへ行ったというのか。

【未解決】キャンプ中の一家が忽然と消えた「カウデン家失踪事件」! 恐ろしい遺体発見でさらに深まる謎
(画像=画像は「Unsplash」より,『TOCANA』より 引用)

 家族の帰りをこれ以上待っても埒が明かないことを実感した母親は、警察に報告した。

 さっそく当局による捜索が行われ、付近で一家のものらしき釣り竿や新品の調理器具などが発見された。一家がキャンプをしていた現場には荒らされたような形跡はいっさいなく、夫婦の財布の中には現金とクレジットカードが手つかずのまま収められていた。一家が連れて来ていた飼い犬は、キャンプ地から約5マイル離れたところで無傷の状態で発見された。

 捜索にあたった警察官は、家族は近くの小川にちょっと泳ぎに行ってすぐにでも帰ってきそうだったとコメントしている。

 しかし、この後すぐに大規模な捜索が開始されたが、それ以上の手掛かりや物証は何もみつからなかったのだ。