室内のデザイン面では、使う人がゆったりとした気持ちになれる空間を目指し、インパネには大容量の収納や取り出しやすさを追求したトレーを配置して、日常でストレスなく使用できるようアレンジ。また、リアクーラーの採用やリアクォーターガラスの面積を拡大するなど、2列目および3列目の快適性をいっそう向上させた。
モデルごとの個性も打ち出し、AIR系は肌に触れるパーツに優しい触感の素材を配したうえで、丸みを帯びた形状としたことで、安心を感じられるような空間を創出。内装カラーはグレージュとブラックを設定し、シート表皮にはプライムスムースとファブリックのコンビを採用する。一方でCROSSTARはブラックとカーキの2トーンカラーを採用してアクティブさを表現し、さらに荷室にはユーティリティサイドパネルやテールゲートにユーティリティーナットを配備して自由な使い方ができる空間を具現化した。全シートおよびAIR系のインパネに優れた撥水性と撥油性を発揮するファブテクト加工を施したことも、新型フリードのトピックである。
パワートレインに関しては、e:HEVモデルに燃焼の高速化やフリクションの低減によって最大熱効率を40%以上に引き上げたLEB型1496cc直列4気筒DOHC16V・i-VTECアトキンソンサイクルエンジン(最高出力106ps/6000~6400rpm、最大トルク13.0kg・m/4500~5000rpm)に、H5型駆動用モーター(最高出力90kW/3500~8000rpm、最大トルク253Nm/0~3000rpm)/発電用モーターの2モーターを内蔵した電気式CVT、リチウムイオン電池、パワーコントロールユニット(PCU)、インテリジェントパワーユニット(IPU)で構成する2モーターハイブリッドシステムを搭載。一方、ガソリンモデルはポート噴射のL15D型1496cc直列4気筒DOHC16V・i-VTECエンジン(最高出力118ps/6600rpm、最大トルク14.5kg・m/4300rpm)に、フリクションの低減により伝達効率を向上させるとともにローレシオの設定としたCVTを組み合わせて搭載する。駆動機構はe:HEVモデルとガソリンモデルともにFFとリアルタイムAWD(4WD)を設定。e:HEVモデルに4WDを設定するは初で、モータードライブの特長である大トルクを素早く最適に駆動配分することで、さまざまな路面環境でより安定感のある走りを実現している。
基本骨格については、前面衝突エネルギーをエンジンルーム全体で吸収させるというコンセプトを踏襲したうえで、ダッシュボードロアの仕様を変更してキャビン変形を抑制。また、側面衝突に対してはフロアフレームスティフナーやサイドシルスティフナーの強度アップを実施する。さらに、フロントピラーを根元まで一定断面幅とするとともに、衝突時の応力が集中する湾曲部にビードを追加することで強度を向上。合わせて、アウトリガーの採用やフロアフレームスティフナーの大型化によって、フロントのねじり剛性を10%、接地点横剛性を5%引き上げる。リアまわりのピラー稜線をスムーズに連続させてボディ上部の剛性を高めたことも訴求点だ。ホンダの開発陣は、「やみくもに剛性値を高めるのではなく、自然な車両挙動を目指して剛性バランスを適正化して、高効率ボディを完成させた」とコメントしている。
ダイナミクスの面では、横力キャンセル量の増大やスタビライザーリンクのフリクション低減、低フリクションボールジョイントの採用、ダンパーバルブへの高応答・高速ブローオフタイプの組み込みなどを実施したマクファーソン式フロントサスペンションや、制御分解能を向上させた電動パワーステリングを配するとともに、、電子制御パーキングブレーキおよびオートブレーキホールド機能の全車標準化などを実施して、より扱いやすく、かつ穏やかな乗り心地を実現したことが特徴。加速ノイズとロードノイズを低減して、室内の静粛性をいっそう高めたことも、新型のアピールポイントである。
先進安全運転支援システムのHonda SENSINGについては、広い有効水平画角を持つフロントワイドビューカメラと高速画像処理チップ、前後4つずつのソナーセンサーなどを装備して、従来システム以上の広い範囲と高い精度で対象物を検知。機能としては、ブラインドスポットインフォメーションやトラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)などを追加する。フロントグリル、左右ドアミラー、テールゲートに備えた4つのデジタルカメラで車両の周囲を撮影し、高精細な合成映像にガイド線などを加えてディスプレーに表示するマルチビューカメラシステムも、フリードとして初採用した。
コネクティビティの面では、スマートフォンで離れた場所からクルマのエアコン操作やクルマの位置情報を確認できる新世代のコネクティッド機能を組み込んだHonda CONNECTを採用。Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用スペシャルパッケージは全車標準で、11.4インチHonda CONNECTナビや9インチHonda CONNECTナビなどはディーラーオプションで設定している。
フリードCROSSTARには、スロープ車(297万7000円~329万5000円)とリフトアップシート車(299万5000円)も設定する。
スロープ車は電動ウインチ(速度調整機能・進路補正付)とスーパーフレックススロープを装備。普段の買い物やレジャーシーンで使えるとともに、介護用途における利便性を追求することで、幅広い層のユーザーが使用できるモデルに仕立てる。また、今回の新型から型式指定自動車としてラインアップすることで、持ち込み登録の手間が省け、納車までの時間短縮を成し遂げた。
一方でリフトアップシート車は、助手席のシートの回転から昇降まで、すべて電動で操作を行うことで、車いすや杖を利用する人にとってストレスの少ないクルマの乗り降りを実現。また、シートの背もたれの角度やシートポジションの電動調整を採用し、シート調整のしやすさを追求する。さらに、車いすユーザーもシートに乗り移ることで、長距離でも快適な移動を実現した。
なお、パワートレインはスロープ車にe:HEVと1.5Lガソリンを、リフトアップシート車に1.5Lガソリンのみを設定している。
提供元・CAR and DRIVER
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