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政策提言委員・金沢工業大学客員教授 藤谷 昌敏

世界の歴史が大きく動く時、たくさんの人々が凶弾に倒れ、多くの血が流されてきた。

例えば中国では、清の時代、洪秀全が中心となって太平天国の乱(1851-1864)が起きた。この大規模な反乱は、清を大きく揺るがし、数千万人の犠牲者が出たという。

イギリスと中国の間で行われたアヘン戦争(1840-1842)では、敗れた清において外国の影響力が増大し、中国の前近代と近代を画す重要な転換点となった。英中合わせて約2万人が犠牲となった。

西安事件(1936)では、東北軍閥の首領である張学良が、欧州旅行から帰国した際に感銘を受け、中国の統一を目指し、中国の政治的転換点となった。その後の国共合作による対日戦争の激化により、中日双方、約43万人が犠牲となった。

中華人民共和国の建国(1949)では、毛沢東率いる共産党が国民党を破り、中華人民共和国の建国に成功して、社会主義体制への移行を果たした。この内戦によって約497万人が犠牲となった。

中国は、伝統的に異民族の支配や影響力を受けることが多く、それまでの国の文化や制度を徹底的に破壊するという特徴を持つ。それ故、政治は苛烈で大衆に対して極めて強権的だ。

それでは、今、世界を分断して対立している米中の一方の雄であるアメリカ合衆国はどうなのだろうか。世界最高の強国として君臨するアメリカ合衆国も多くの犠牲者を出しながら歴史を辿ってきたと言える。

その歴史の転換点となった事件について解説し、アメリカ合衆国の分断と衰退に備えて日本はどう対応すれば良いのか探ってみたい。