相当の金額の損害賠償が認められる可能性

 花王は「めぐりズム」について意匠登録、商標登録、特許取得をしているが、今回のケースは意匠権の侵害が成立すると考えられるのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。

「確かに花王は、令和4年11月11日にアイマスクの意匠登録を出願し、令和5年10月17日に登録されております(意匠登録第1756188号)。『意匠』という物に対するデザインの権利のため、言葉にあらわすのは大変な作業らしいのですが(ここら辺は弁理士の職分です)、意匠権登録の際の『物品の説明』には、『本物品はアイマスクであって、マスク本体部の内部には冷却シート又は温熱シートが収容されている。耳掛け部にはスリットが設けられており、当該スリットを広げて耳に掛け、前記冷却シート又は温熱シートの収容範囲が目元に当たるように装着する。』と記載されています。

 実際、花王のアイマスクは、目の部分に蒸気が出るようなシートがあり、これがマスク全体に収められ、また、耳にかける部分がついている形状をしております。他方、アイリスオーヤマのアイマスクも、写真を見る限り『目の部分が温かくなるようなシートがあり、これがマスク全体に納められ、また、耳にかける部分がついている形状』をしています。

 アイリスオーヤマが、花王が意匠登録の出願をした令和4年11月11日以前からこの商品を販売していたのであれば、法律上、文句は言えませんが、そうでないなら”パクリ”と言われても仕方がないと思います。この場合、意匠法では、アイリスオーヤマが販売したアイマスクの量と、これによって花王が得られなかったアイマスクによる利益に応じて損害が推定されるので、相当の金額の損害賠償が認められるのではないでしょうか。

 なお、今回、花王は『仮処分』という手続きを行っております。これは、『訴訟』という1年以上かかる手続きを待っていたら、その間に損害が拡大してしまうような場合に、『とりあえず緊急だから数週間で審理して、ある程度、証拠があるなら認める、ただし、十分に審理して判断するわけではないから、将来、間違っていたときのために担保金を積んでね』という手続きです」

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

提供元・Business Journal

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