神戸メリケンビル

海岸通りとメリケンロードが交差する場所に位置するのが神戸メリケンビル。もとは日本郵船の前身である神戸郵船の所有するビルでした。かつては屋上にドームを擁していましたが戦争で焼失しています。建物も焼失しましたが復旧してかつての姿をとどめています。

商船三井神戸ビルがすぐそばにあるように、海岸通りには日本有数の海運会社が軒を連ねます。神戸港が日本の海運にとって極めて重要な地位を占めていたことを意味しています。

商船三井神戸ビルとは異なりこちらはトラディショナルなデザイン。どんなデザインを選ぶかで企業の性格も窺い知ることができます。伝統を重んじる姿勢を前面に打ち出して安心感を与えるデザインです。

FISH DANCE

旅の終着点はメリケンパーク内にある芸術作品「フィッシュダンス」。神戸開港120年を記念して1984年に建築家フランクゲーリーが設計し、日本を代表する建築家、安藤忠雄氏が監修して作りあげた22メートルもの鯉のオブジェです。世界に名だたる建築家により手掛けられた作品であり、建築散歩としては無視することができません。

この作品はチェーリング・メッシュを繋ぎ合わせて作られていますが、ゲーリー氏はこのような金属の破片や合板などといった身の回りにあるものを組み合わせて作品を作ることが多いです。

MODERNLIVING HPより。

ウォルトディズニーコンサートホールなどをはじめ曲線を使った奇抜なデザインの作品が多いゲーリー建築。型にはまらない自由奔放なデザインのインスピレーションを魚から得ていたとも言われています。ゲーリー建築の原点をここに見ることができるといっても過言ではないでしょう。

ちなみにこの作品、金網でできているので当然錆が出るのですが、それを防止するために管理者である神戸港振興協会が色を塗ったところ芸術に対する侮辱と批判が殺到しもとの色に戻されました。錆が出ることで味わいも増す。それも見越しての作品であることが理解できていなかったのではないかと思います。