「集団的自衛権」とは自国に対する攻撃がなくても、同盟国など自国と密接な関係にある国に対する攻撃を自国に対する攻撃とみなし、共同で反撃できる国際法上の権利である。国連憲章51条で認められている。欧米の国々32か国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)は、条約の中に集団的自衛権を明記している。

第二次安倍政権が2014年に憲法解釈を変更し、同盟国である米国との集団的自衛権の行使容認の閣議決定をして10年が経過した。この閣議決定による2015年の「安保法制」に基づき、岸田政権は「安保3文書」を策定し、「敵基地攻撃能力」(反撃能力)の保有を宣言した。米国からの長射程巡航ミサイルの導入や、敵の射程圏外から発射できるスタンド・オフ・ミサイルなどの開発整備に取り組んでいる。

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「集団的自衛権反対論」の論破

2014年当時、「安保法制」に対し、共産党、民主党、社民党などは、「戦争法だ!」「徴兵制になる!」などと激しく反対したが、10年たってもそのような事態にはならず、日本の平和が保たれている。

にもかかわらず、今も共産党や立憲民主党、社民党などは「集団的自衛権」に反対し「閣議決定」の撤回を要求している。ただし、立憲民主党は今では「違憲部分」のみに反対すると主張を変更しているが、明確ではない。

これらの野党の主な反対理由は、自国が攻撃されていないのに米国が攻撃された場合にも米国とともに共同で反撃すれば、憲法9条の戦争放棄・平和主義・専守防衛の理念に違反し、日本は米国の戦争に巻き込まれるというものである。

しかし、安保法制上、日本の集団的自衛権行使は、無条件ではなく米国に対する攻撃が日本の存立を脅かす事態に限られる。このような日本の存立を脅かす事態における集団的自衛権の行使は、安全保障上憲法9条も許容する事態であるから違憲ではないと言えよう。反対勢力はこれらの点を無視しているのである。