英国の総選挙では野党・労働党が大勝し、14年ぶりに政権が交代する運びとなりました。日本ではイギリスのような単純小選挙区制とは異なり、いわゆる「死に票」を生かすために比例代表制を並立で組み合わせているため、このような劇的な形での政権交代は起こりにくく、それが中途半端な感じを与えてしまっているのかもしれません。
現在の小選挙区比例代表並立制は、それまでの中選挙区制度の「同じ自民党同士で戦うためにサービス合戦となりカネがかかりすぎる」「政策ではなく個人を選ぶことになる」「天下国家の在り方ではなく地域の利害を語る」等々の弊害を改めるため、長い侃々諤々の議論を経て導入されたものですが、それらの弊害は改められたのか、そして他の問題が生じてはいないか。
自民党で中選挙区制度で戦った経験を持つのは、岸田総理や浜田衆議院国対委員長など、当選10回生以上のごく少数になってしまいましたが、そうであるだけに我々が残っている間にもう一度徹底した議論を行い、改めるべきは改めていかなくてはなりませんし、これは小選挙区制を導入した我々の責任であると思っています。
日本銀行券の肖像画が、一万円券が渋沢栄一、五千円券が津田梅子、千円券が北里柴三郎に変更になり、この3日より流通が始まりました。福沢諭吉先生(慶應義塾で「先生」と呼ばれるのは福沢先生だけで、塾長であれ、教授であれ、すべて「君」で呼ばれます)が使われなくなったことに慶應のOB(「塾員」といいます)が反発しているとの報道も一部にありますが、最高額紙幣の肖像になっただけでも十分に名誉なことで、それほど拘ることでもないと思っています。
そもそも紙幣の肖像画に政治家や軍人を使うことには慎重であるべきで、世界的な学問的功績のあった学者を優先すべきと思いますし、もちろん、時の政府の意図が働くようなことは断じてあってはなりません。
前々回の当欄で「昔のクルマはうっとりするほどに美しかった」的なことを記しましたが、五木寛之氏の1972年の短編「わが憎しみのイカロス」には、BMW2000CSの美しさに惚れ込んだ少年の鬼気迫るような姿が描かれ、これを読んだ時の衝撃は今も忘れられません。五木氏の小説はほとんど読んでいますが、初期の短編や中編には何とも言えない不思議な雰囲気が漂っていて、今も時折読み返しております。
明日6日土曜日は自民党愛知県連大会で名古屋市へ、7日日曜日はかねてより親交のある元竹田市長の首藤勝次氏の叙勲祝賀会で大分県竹田市へ、8日月曜日は衆議院当選同期の木村義雄前参院議員の政経フォーラムで高松市へ、それぞれ参ります。
酷暑の中、地方への出張が続き、心身ともにかなり疲れ気味ではありますが、何とかこなしたいと思います。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2024年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。