石破茂です。

東京都知事選と9選挙区での東京都議会議員補欠選挙の投開票日を控え、私も一昨日は八王子市と府中市での個人演説会、昨日は板橋区での街頭演説会で登壇して参りました。

「知名度の高さ故の人寄せ要員」であろうとはいえ、候補者の人となり、訴えている政策の他に、当該選挙区や演説会場の所在地(八王子市加住町、府中市西府町、板橋区成増など)の各種指標や地域特有の課題などを事前にある程度承知しておかなければ、説得力のある応援演説にはなりません。

東京都には62の市区町村があるのですが、人口増減率、世帯平均所得、出生率、婚姻率、人口当たりの病床数等々、さまざまな数値が大きく異なることに驚かされます。

東京都議会議事堂 moronobu/iStock

最近はこれらに加えて、太平洋(大東亜)戦争時の戦災状況も事前に調べるように努めて心がけているのですが、東京も昭和20年3月10日の東京大空襲だけではなく、府中市を含む東京都西部は同年5月25日、板橋は6月10日に大規模な空襲を受け、多数の犠牲者を出しています。

シェルターや避難所を整備するにあたって、こういった歴史の教訓も今一度よく検証するべきです。市民や国民の避難を第一に考えていない、という点において、日本は戦前と戦後が連続しているように見えることに、改めて慄然と致します。

都知事選や都議補選が終われば、政治報道は一気に自民党総裁選挙一色になるのかもしれませんが、内外の現状をどのように認識し、どのような政策を志向しているのかを等閑視して、ひたすら活劇調に「政局」のみを面白おかしく報じることは、日本政治にとって何のプラスにもなりません。

未だに既存メディアの影響力が大きい中、「第四の権力」と言われるメディアに対しては三権分立的な相互抑制のシステムが存在していません。先週もこの点を指摘しましたが、もしメディアが暴走したら、立法府、行政府はどのような手段をとるべきなのでしょうか。司法による解決は裁判所への訴えという形がありますが、これには相当の時間がかかります。