黒坂岳央です。

投資のパンフレットなどは「債券という金融商品は、サラリーマンの給料みたいなもの」という説明がある。これは本質的にはその通りで、リスクは発行体、つまりは勤務先のデフォルトである。

サラリーマンは自分自身を債券のように考えることで、冷静に自身のキャリアを客観視して適切に振る舞うことができるだろう。

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労働は収益効率がいい

自分を債券と考えると見えてくる事実がある。

たとえば年収300万円の人は、実は債券投資で言う投資元本1億円に相当する。税引き後の手取りで3%の債券で年収300万円にしようとすると、その元本は1億円が必要になるからだ。しかし、自分自身が労働をしてお給料を稼げば、手元に元金がなくても即座にお金を生み出す事ができる。つまり、労働は資産運用をすることに比べれば、かなり効率の良い収益源である。

仮に債券投資の分配金だけで資産を増やそうと考えると、複利の力を使っても途方もない時間がかかる。ハンドリングに失敗すれば資産を減らすリスクだってある。

だが労働は債券投資より収益率を高めることは難しくない。スキルやキャリアを磨いて高給を稼げる外資系で働けば、収益率は数十%上昇する。しかもその効果は勤務先が同じである限り持続する。これはあたかも国内債券を売却し、代わりに米国債券に乗り換えるようなイメージだろう。資産運用に絶対はないが、労働で付加価値を高めて勤務先を選べば絶対に昇給できるのだ。