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7月3日の「自民党が『政倫審』の対応に苦慮」しているとの『産経』記事を読み、筆者は「二豎(にじゅ)の膏肓に入」りそうな自民党に暗澹とした。この難解な句は、近ごろ読んだ『漱石書簡集』(岩波文庫)の冒頭に収録されている、明治22年5月13日に漱石が正岡子規に宛てた手紙に出てくる。

子規が初めて喀血したのはその明治22年5月で、当時子規は21歳、漱石は22歳だった。それでも子規は日清戦争末期の明治28年4月、遼東半島に従軍記者として赴いた。が、翌月の終戦で帰国する船中で大喀血し、以後7年間、その頃まだ不治だった結核の一種「脊髄カリエス」の床に臥すことになる。

その『産経』記事は、通常国会は閉会したものの、不記載が確認された自民議員らに「弁明を求める議決の効力」が残っているため、議決の対象議員は国会の常任委員長や理事などへの起用が難しくなり、自民党は若手の育成にも支障が生じかねない状況となっている、などと続く。

昨年来の清話会を主とする自民党のパーティー券還流金の報告書不記載問題を受け、両院はこの3月、衆院44人、参院29人の計73人に対して弁明を求めることを全会一致で議決した。ところが、対応が議員個人の意向に委ねられているために、1人も出席しなかったというのである。

そもそも政治倫理審査会とは何かといえば、衆議院のHPにはこうある。

政治倫理審査会は、政治倫理の確立のため、議員が「行為規範」その他の法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうかについて審査し、適当な勧告を行う機関です。

本審査会は、国会法に基づき、第104回国会の昭和60年12月から設置されています。

つまり、「(議員が)法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認めるかどうか」が要点だ。東京地検に刑事処分された議員は、大野泰正(在宅起訴)、谷川弥一(略式起訴)、池田佳隆(逮捕)だけなのだから、他の議員は自らの「政治的道義的責任」をありのまま述べれば良いではないか。