今から350年近く前、イタリアの修道女が悪魔に憑依されて無理やり書かされたとされる、どの国の言葉でもない謎の手紙――。“悪魔の手紙”と呼ばれている文書が解読されたという。いったいどんなことが述べられていたのか。
■“悪魔の手紙”がついに解読される
今から340年以上も前、イタリア・シチリア州アグリジェント県のパルマ・ディ・モンテキアーロ女子修道院で、シスターであるクロシィフィッサ・デッラ・コンチェツィオーネによって“悪魔の手紙”は書かれた。
その“悪魔の手紙”はアルファベットやルーン文字、ギリシア文字のような文字がごちゃ混ぜになったような文面で、現在使われているどの国の言語でもなく、これまで誰にも読むことはできなかった。
残っている記録によればシスターは、1676年のある朝、手が黒いインクまみれになった状態で目を覚ましたという。そして部屋の机の上にはこの謎の手紙が置かれていたのだ。
シスターはこの前夜、気を失った状態でこの手紙を書いたのだと自己申告している。彼女に手紙を書かせたのは憑依した“悪魔(ルシファー)”であるという。これは悪魔の計画の一部分を成すもので、彼女から神への信仰を奪い、悪魔崇拝へと導くものであるということだ。
“悪魔の手紙”は現存しており、そこに何が書かれてあるのかこれまで誰にもわからなかったが、数年前に解読されている。悪魔は何を伝えようとしていたのだろうか。
イタリアの科学博物館であるルドゥム・サイエンス・センター(Ludum Science Center)の研究チームは、ダークウェブにあった暗号解読ソフトウェアを使ってこの“悪魔の手紙”の解読に成功したのである。
「情報機関が暗号解読のために利用しているというソフトウェアがあることを私たちは知りました。我々はこのソフトを使ってまずは古代ギリシア語、アラビア語、古代北欧アルファベットとラテン語を学習させ、手紙の一部を解読すると、この手紙は確かに“悪魔的な”もののようでした」と研究チームのダニエレ・アバーテ氏は語る。