大手EVメーカーとの実証実験でも高評獲得

FCL-Xは大手EV メーカーやジョージア州の港湾当局との実証実験で高い評価を得ている。約800℃で燃える57kWhのEVバッテリー火災に対し、約450LのFCL-Xを使用して15分以内に消火し、再発火はなかったという。

FCLは、FCL-Xがテストにおいて他の化学消火剤や水よりも少ない量で、有毒な煙を抑えながら消火できたと述べた。

FCLは2022年の創業以来、リチウムイオン電池のリサイクルや、電池材料の再利用技術の開発に取り組んできた。現在の時価総額は約1989.94万カナダドルだ(7月3日時点)。

今年3月に公開されたYouTube動画で、FCLのCEOであるCarlos Vicens氏は「FCLは過去1年半程度で1,500万カナダドルの資金調達に成功した」と語っている。投資家からの注目度も高そうだ。

現在、同社はジョージア州に2,000トン/年の生産能力を持ち、最大10,000トン/年まで拡張可能なリチウムカーボネート製造工場を保有している。これは、過去20年間で北米で唯一の新規グリーンフィールド工場でもある。

リチウムイオン電池は今や社会のインフラとも言える存在だ。一方で、火災リスクという負の側面も抱えている。FCLは独自技術で、このジレンマの解消に挑む。リチウムイオン電池の未来を左右する一手となるか。業界の注目が集まっている。

(文・嘉島亜麻実)