毎年6月に行なわれるGS FUN RIDE。これは、BMWモトラッドの首都圏ディーラーグループが主催するイベントで、BMWのアドベンチャーモデルである「GSシリーズ」を使って徹底的にオフロードコースを楽しもうというものだ。これまでに何度も行なわれてきた歴史あるオフロードイベントなのだが、2023年までは浅間山の麓にある「アサマレースウェイ(浅間火山レース跡地)」が会場だった。しかし2024年は神奈川県厚木市にある「人の森・華厳工場」で初開催となった。

会場の魅力は、なんと言ってもその雄大な景色とコース

ここでは採石するだけで終わらず、削った山に木を植えて、森を再生する活動も行われている。

会場に選ばれた「人の森・華厳工場」とは、現役の採石現場であり、採石するばかりではなく、その後の環境として人間が森を育むという活動に力をいれている企業だ。ハードエンデューロライダーである石戸谷蓮氏が、人の森株式会社と協力してハードエンデューロを始めたのがきっかけで、近年イベントの時のみ、一般ライダーも走れるようになった。

その景色はまさに雄大そのもの。この瓦礫の景色の中にいると、どこか地球外の星に来たような錯覚も。

この会場の魅力は、なんと言ってもその雄大な景色とコース。山を切り開いた広大な土地に巡らされたコースは、日本離れした巨大なスケールだ。

参加者は過去最大の200人超え

参加者は過去最高の200人超え。しかも初心者率が高いというから、今後も続いてほしいイベントだ。

イベント当日は早朝から多くのGSライダーが次々と集まり、8時から始まるブリーフィング時には200名を越え、参加者は過去最大となった。このイベントのいいところは、オフロードの初心者からベテランまであらゆるスキルのライダーが楽しめること。初心者にはBMW公式インストラクターである松井勉氏と鈴木大五郎氏、元国際A級モトクロスライダー吉友寿夫氏の初心者向けトレーニングが用意され、ベテランには、難易度の高いサンドヒルクライムやスキルチャレンジなどのプログラムが用意されている。

日本中探しても、これだけの規模でオフロードイベントが開催できるのはここぐらいだろう。
周囲の景色はあの「世界一過酷なハードエンデューロ・エルズベルグロデオ」を彷彿とさせる。
九十九折れを上がった山の中腹からは、相模湾や東京方面が遠望できるほど。

1周約2kmほどの周回コースは、九十九折れを駆け上がり、林間コースを抜け、そして道幅4車線はあろうかという広いダートをハイスピードで駆け上がる設定。岩、砂、瓦礫の広大な世界の中にクレーンやショベルカーといった重機が並び、モノトーンで荒廃した場所を走っていく感覚はどこか地球ではない別に星の迷い込んだかのような錯覚にさえ陥る。

ヒルクライムに果敢にアタック!下に見えるバイクの大きさからこの斜度が
かなりきついのがわかるだろう。しかし砂なので、転倒してもダメージは少ない。

今回は、その周回コースの途中にベテラン向けのヒルクライムコースも設置。斜度およそ40度はあろうかという砂の山は、下から見るとまるで壁のようなそそり立ち具合。現場では腕に自信のあるライダーが果敢にサンドヒルへチャレンジを繰り返す。助走でスピードを上げ、アクセルを開け続け、フカフカの砂山を登り切ったその達成感は、かなりのもの。また右側には難易度の低い、ゆるやかなヒルクライムも設置され、自信のないライダーはこちらへ挑戦することも可能だった。

周回の最後は4車線ほもある豪快なフラットダートの登り。これが最高に気持ちいいのだ。

周回コースはベテラン向けのハイペースと、初心者向けのスローペースが30分ごとに入れ替わり、午前中にトレーニングをみっちり受けた受講生は、午後に周回コースでその成果を試すことが可能。しかも先導や後続には熟練のマーシャルが帯同し、もし転倒やトラブルがあってもすぐに駆けつけてくれるので、オフロード初心者にとってはまさに至れり尽くせりのプログラムである。