利益を生み出すOwnerのフードデリバリーサービス
Ownerのソリューションをさらに際立たせるのが、フードデリバリーサービスだ。米国におけるオンライン注文は、Doordash、Uber Eats、Grubhubのようなフードデリバリーサービスが80%を占めている。これらサービスは、飲食店に対して20%から30%の手数料を請求するうえに、消費者からも追加料金を徴収している。しかも大規模チェーン店であれば手数料カットの交渉が可能だが、多くの小規模飲食店はそのような交渉力を持たない(参考)。
これが飲食店経営を強烈に圧迫していることをみてとった Guild氏は、レストランが手数料無料で利用できるフードデリバリーサービスを、Ownerのソリューションにバンドルした。
同サービスはOwnerのオールインパッケージに含まれており、利用料金は月額500ドル(サブスクリプションベース)だ。これは他社のWebサイトビルダーに比べれば高額だが、自店舗ブランドのモバイルアプリとマーケティングオートメーションがバンドルされていることによる。
なお配達料金は、飲食店が4ドル、顧客が3ドルとなっており、大手のフードデリバリーサービスよりも格安だ。
これが、フードデリバリーサービス単体で収益をあげないというOwner独自の顧客獲得戦略だ。
逆風が吹く飲食業界で成長を遂げる
Guild氏はOwnerの創業前に、大手飲食チェーンと提携して、オンライン注文のプロモーションを支援していた。しかしコロナ禍でその会社の解散を強いられた後に、一念発起をして再起をはかったという。そして飲食店オーナーらに電話をかけ、飲食店オーナーが抱えているオンライン注文の問題を解決しない限り、飲食店の存続に深刻な状況が生まれることを悟ったとのことだ(参考)。
小規模飲食店のオーナーに限らず経営者の究極の課題は、収益の向上とコストカットだ。それに対するOwnerの提供価値は、大手チェーン店と同等のオンライン販売のテクノロジーを提供するだけにとどまらない。
収益向上に焦点をあてたオンラインマーケティングと、コストカットに直結し利益を生み出すデリバリーサービスのパッケージは、小規模飲食店オーナーを悩み知らずに変える「全部おまかせソリューション」といえるだろう。
競合がひしめく業界の中にあっても、Ownerはひときわ輝いている。
(文・五条むい)