■“幽霊話”が法廷に影響を及ぼす

 ゾーナの母親、メアリーは医師の診断に納得しておらず「悪魔が娘を殺した」と主張していた。そして関係者の中で唯一、メアリーはシューに疑惑を抱いていたのだった。

 メアリーはシューの前妻の1人が不可解な状況で亡くなっていることを知り、その疑念をますます深め、ある日「シューが娘を殺した」という謎の声を聞いたのだった。

 さらにある晩、就寝中だったメアリーの夢に娘のゾーナがあらわれ、殺された経緯をすべて語ったのだ。シューは暴力を振るうDV夫であり、頻繁に彼女を殴り、何度も虐待した。そして、シューはゾーナの喉をつかんで首を折り絶命させたというのである。

 夢の中で事件の詳細をリアルに語るゾーナの話がすべて本当のことだと確信したメアリーは、すぐに郡検察官のジョン・アルフレッド・プレストンに内容を伝えた。

 もちろんブレストンは夢の中に出てきたゾーナの幽霊話を証拠として採用することはなかったが、遺体を調べた医師がシューに妨害されていた事実が明るみになり、ゾーナの遺体が墓から掘り出されて詳しい検死に回されることになったのだ。

 そして、検死によって遺体の喉に指の形の打撲傷があり、気管が押しつぶされ、首の骨が折れていることが判明した。つまり、ゾーナは殺害されたことが明らかになったのである。

 そしてシューは妻を殺害した容疑で直ちに逮捕され、裁判が行われた。

 ゾーナの幽霊の話が証拠になることはなかったが、裁判が進むうちにその話が妥当なものであることがほかの状況証拠から徐々に明らかになったきたのである。

 しかし、シューとシューの弁護士は、法廷で幽霊話を持ち出すメアリーを認知機能が低下した信頼できない証人にしようと論陣を張り、この試みは成功するに違いないという確信を得ていた。

 裁判官も幽霊の話は無視するようにと何度も忠告していたのだが、陪審員は満場一致でシューを有罪とし、最終的に終身刑が言い渡された。幽霊が法廷に影響を与えたのだ。

 投獄されたシューは急激に衰弱し、3年後の1900年3月にインフルエンザ感染をきっかけに獄死した。一方でメアリーは1916年9月まで生き永らえている。

 この一件は「グリーンブライアの幽霊」として地元で語り伝えられ、「幽霊の証言が殺人者の有罪判決を後押しした唯一の事件」として誇らしげに喧伝されている。「グリーンブライアの幽霊」にちなんだゴーストツアーも行われているということだ、

 幽霊という、いわば超常現象が裁判に影響を及ぼしたケースとして興味深い「グリーンブライアの幽霊」が我々に語りかけていることの意味は大きい。それがどれほど非科学的であろうとも、我々は本質的に“幽霊”を無視することはできないのだ。

参考:「Mysteries Universe」、ほか

※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。

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提供元・TOCANA

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