都知事選の投票日の2日前というタイミング

 同社をめぐっては、4日発売の「週刊新潮」(新潮社)が、東京都の幹部14人が三井不動産と三井不動産レジデンシャルに天下りしていたと報道。「新潮」によれば、22年に行われた東京都による神宮外苑再開発の入札で、選ばれた三井不動産のコンソーシアムの入札価格は約82億円だったのに対し、他の2つのコンソーシアムのそれは200~300億円台だったという。三井不動産はリリースでこの報道について、以下のように反論している。

<「新ラグビー場の整備事業を破格の安値で落札」といった表現が見受けられますが、当社としては著しい事実誤認であると考えています。神宮外苑地区に存在する秩父宮ラグビー場については、JSCが運営事業者の選定を行い、当社を含むグループが運営事業者として選定されています。係る入札の事業者選定方法は、「技術評価点」と、JSCが支払う負担金額の「価格評価点」を総合評価する方式で行なわれています。入札金額とは選定者が事業者に支払う金額のことを指し、金額が低いほど高い評価を得られるというものであり、当社グループが、JSCが支払う金額を極力抑える内容で提案したことが評価された点のひとつであります>

 大手不動産会社社員はいう。

「入札の件は確かに三井不動産がいうとおり、価格が安いほうが選定されるのが一般的なので、もっとも入札価格が低かった同社が選ばれたのは不自然ではない。ただ、入札価格が競合する2連合より桁1つ低いというのは、やや不自然な気もする。選定者であるJSCの予算感をつかんでいたということだろうが、リリースでは東京都幹部の天下りの件には触れられておらず、なぜ都知事選の投票日の2日前というタイミングでこのような声明を出したのかも含めて、気になるところではある」