法律の専門家とボンバルディアのエンジニアがタッグ
Alexiは2017年、Mark Doble氏とSam Bhasin氏の2人によって共同設立された。根底にあったのは、「法律をよりわかりやすくしたい」という思いだ。
CEOのDoble氏は、カナダでのロースクール時代にAIと自然言語処理に心を奪われたという。驚異的なスピードでAI技術が進歩するのを目の当たりにし、AIが弁護士の業務や法制度全体に計り知れないインパクトをもたらすと確信。同時に、誰も解決に向け取り組んでいない複数の技術的な課題についても認識していた。その後、法律事務所で働き始めたDoble氏だが、1年足らずで起業を決意。その後まもなく、当時ボンバルディアでエンジニアとして活躍していたBhasin氏に出会う。Doble氏が気づいていた問題の解決に貢献できると考えたBhasin氏は、ボンバルディアを離職。AlexiでAIと法律を結びつけるために技術面での課題解決に取り組むエンジニアチームを立ち上げることになった。
ユーザーの支持を集めて1100万ドルを調達
同社のサービスは幅広い支持を獲得している。アメリカとカナダに何千ものユーザーを抱え、ユーザーアクティビティも毎月10~20%の伸びを見せているという。カナダ有数の法律事務所Gowling WLGも顧客リストに名を連ねているところから、信頼性の高さも窺える。
投資家の注目も集め、2024年6月にはシリーズAラウンドで1100万ドルの資金調達に成功したと発表。累計調達額は2000万ドルに達した。
資金調達を主導したDrive CapitalのCEOであるChris Olsen氏もAlexiを高く評価している。Drive Capitalが1年で査定する6000社のほとんどが「AI企業」を自認しているが、Alexiのようにビジネス上の課題にソリューションを提供している会社はほんの一握りだという。
AlexiのDoble氏は資金調達に際し、「当社のイノベーション速度は驚異的なもの。われわれは未来を予測するのではなく、創造している」と述べている。同社が「未来を想像」し、市場の伸びを後押しする存在になれるか注目したい。
(文・里しんご)