ウィーンで先月30日、欧州の右派勢力、オーストリアの野党「自由党」(FPO)、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相の「フィデス=ハンガリー市民同盟」(FIDesz)、そしてチェコのアンドレイ・バビシュ元首相の「ANO」の3党が欧州議会で新しい会派「Patriotsf or Europe」(欧州の愛国者)を結成すると表明した。ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は現時点では新会派に入らないという。

欧州の3右派政党、欧州議会で新会派創設へ。左からチェコのバビシュ元首相、ハンガリーのオルバン首相、自由党のキックル党首(ハンガリー与党「フィデス」公式サイトから、2024年6月30日、ウィーンで)

欧州議会に政治団体(会派)を設立するためには少なくとも7か国、合計23人の欧州議員が必要だ。新会派は現在、3カ国、23人の議員メンバーだ。ちなみに、FPOはこれまでID(「アイデンティティと民主主義」に属し、FIDeszは無所属だ。オルバン首相の与党はもともとは「欧州人民党」(EPP)会派メンバーだった。

フランスで先月30日、国民議会選(下院)の第一回投票開票が行われ、極右政党「国民連合」(RN)が最大得票を獲得して躍進する一方、AfDは6月29日、同国西部エッセンで党大会を開催し、今年9月に実施されるドイツ東部3州の議会選挙での勝利を目指して新たな指導部体制を強化したばかりだ。独仏両国で極右政党が飛躍している中、その追い風に乗って欧州の右派政党が欧州議会での新会派の創設を宣言したわけだ。

なお、AfDのアリス・ワイデル共同党首の広報担当者はドイツのニュース専門局ntvに対し、「この時点でAfDがFIDeszと共同の会派を組むことはできないが、AfDにとって他の政党との協力の新しい可能性を開くものとして新会派創設を歓迎する。欧州議会ではECR(欧州保守改革党)やID(アイデンティティと民主主義)の会派が存在するが、他の選択肢の誕生は喜ばしい」と述べ、AfDが中期的には新会派に所属する可能性を排除しなかった。