アドビ株式会社(以下、アドビ)は、アメリカ・日本・欧州を含む世界6,000人以上の消費者を対象に、インターネット上でフェイク情報に遭遇した経験や生成AIがもたらす影響への懸念などについて調査した結果を公表しました。

この記事では、アメリカと日本の回答を比較しながら調査結果を紹介します。

誤情報への懸念が8割超え

生成AIは、プロンプトを入力すると、文章や画像、動画などを作成してくれるツールですが、本人が喋っていないことを喋らせたり、顔だけをすり替えたりといった「DeepFake(ディープフェイク)」、事実とは誤った回答を生成する「ハルシネーション」など問題点もあります。

今回の調査によると、アメリカ・日本の回答者どちらも80%以上がオンラインで接するコンテンツが改ざんされ、誤情報になることに「懸念がある」と回答。

「コンテンツが生成AIで作られたかどうか判別できることが重要か」という質問に同意したのはアメリカで76%、日本では57%に上り、さらに「オンラインコンテンツの信頼性を確認するための適切なツールを必要」と回答したのはアメリカで88%、日本で77%となりました。

生成AI利用の有無・信頼性についてはアメリカのほうが重要性を感じている人が多いようです。

選挙の公正性の担保に懸念を

今年はアメリカ大統領や東京都知事選など、世界各国で重要な選挙が行われるなかで、選挙の公平性と生成AIなどの利用については、アメリカの方が禁止を求める声が多いことがわかる結果となりました。

アメリカの回答者80%、日本の回答者73%が、誤情報や有害なディープフェイクが将来の選挙に影響を与えるといいます。

「閲覧しているオンラインコンテンツが真実かどうかを判断するためのツールが普及していないため、選挙候補者がプロモーションコンテンツに生成AIを使用することを禁止すべき」と、アメリカでは78%、日本では61%が回答しています。

ディープフェイクや誤情報から選挙の公正性を守るために、政府とテクノロジー企業が協力すべきだと考えている人もアメリカで83%、日本で72%に上りました。

「積極的な対策が急務」

アドビは、同社が提供する画像・動画編集ソフトで生成AIを利用した機能の搭載などを進めており、今回の調査は、同社の責任あるイノベーションに関する取り組みの一環として実施したそうです。

今回の調査結果を受けて、「デジタルコンテンツの信頼性を検証するツールに対する消費者のニーズが高まっていること、そして誤情報が各国の選挙の公正性に影響を与えるため、積極的な対策が急務であることを示している」と指摘。

「とくに目前に控えたアメリカ大統領選挙に向けて、過熱する両陣営の選挙戦や情報戦に世界の注目が集まるなか、この調査結果は公平な選挙におけるデジタルコンテンツの影響について世論の声を示す1つのベンチマークになります」とコメントしています。