黒坂岳央です。

会社員を辞める前、独立することに人一倍恐怖があった。経済的不安というより、独立すると守銭奴で人が寄り付かないような性格になってしまうのでは?と人格が変わってしまうことに対してである。

独立してかなりの年月を経た今、確かに性格というか人格は変わってしまったと思っている。でもそれはかつて不安視していたものとは逆の方向だった部分もある。

本稿では個人的に独立して変化した性格について取り上げたい。

78image/iStock

1. 気持ちの余裕が生まれた

最大の変化は「気持ちの余裕」である。会社員の頃はこの逆でまったく余裕がなかった。上司や同僚に相性が悪い人が来るとジ・エンドという感じで人事異動がある度に「どうか相性の悪い人に当たりませんように!」とお祈りしていた。

しかし、独立後は人間関係の悩みは消えた。上司はいない。業績は100%自己責任なので、頑張ったりアイデアや創意工夫はすべて跳ね返ってくる。もちろん、マーケットから心無い言葉も受け取ることはよくあるが、会社員のときと違うのは合わない相手とは無理に付き合わなくても良いという点だ。そのため、良くも悪くも成果物だけで取引ができるので本来の仕事のパフォーマンスだけに集中できる。

また、時間の余裕も感じられる。会社員の頃は一日の余暇時間は極めて限定的で、金曜日の夜から日曜日の夜までは「聖域」。この貴重な時間をムダにしてはいけない、ということでとにかく時間にケチだった。確かに独立後も1分1秒をムダにするつもりはないのだが、ノルマに追いかけられているものはなにもないので、セカセカと慌てふためくタイミングは激減した。もちろん、ムダを省いて効率を求める姿勢は変わらないが、気持ちの余裕は生まれた。