レガシーは遺産のことだが、企業経営においては、負の遺産という表現のもとで、捨て去られるべき古い事業を指すことが多い。社会構造や技術条件が変化すれば、どこかの場所で何らかの新旧交代が生じて、何かが必ずレガシーになるわけである。
レガシーは直ちに無用、不要、有害となるのではなく、一定の時間をかけて徐々に滅んでいく。その間、収益を生み続け、費用が適切に管理されている限り、利益を生み続けるのだから、レガシーは、利益がなくなる時点までの将来利益の現在価値を基準として、その周辺の価格によって、売却され得る。
レガシーは、それが売却され得る限り、売却する企業にとってはレガシーであっても、買収する企業にとってはレガシーではない。なぜなら、買収後に何らかの改善を行うことにより、買収価格よりも、事業価値を高め得るからである。実際、同業他社による買収であれば、規模の経済による効率化が生じるわけである。