「かざし利用」の課題

 電子証明書を使った「かざし利用」については、今まで法で明確に定められたルールがなかったため、自治体によって運用の仕方がバラバラであった。

 例えば、ある自治体では、マイナンバーカードと図書館カードの紐付けの時にだけ、本人にPIN(4桁の暗証番号)を入力させ、以降、図書の貸出、返却の際には、PIN入力なしでマイナンバーカードをかざすだけという自治体もあれば、最初の紐付け登録から、貸出、返却のすべてでPIN入力を必要とする自治体、最初から最後までPIN入力は一切不要にしている自治体など運用ルールはさまざまだった。

法改正で明確に 「かざし利用」の運用ルール

 人によっては、利用ごとのPIN入力が利便性を大きく下げる要因ともなり、マイナンバーカード利活用の妨げにもなりかねない。なので、PIN入力の回数を最小限にし、カードをかざすだけで本人確認に使えるよう法的根拠を整えたのが、今回の公的個人認証法の改正である。

 今回の法改正により、「市民カード化構想」の「暗証番号なしでのマイナンバーカード利用」、すなわちマイナンバーカードの「かざし利用」のシーンが今後増えてくることと思われる。

マイナンバーカードの「かざし利用」について、生活はどう変わる?
暗証番号の入力を要しないこととされている場面例
(出典:デジタル庁「自治体の皆様へ ~マイナンバーカードの市民カード化構想を進めるために~」)
(画像=『BCN+R』より 引用)