トラックを使った陸運には「空車」という問題がある。荷物を積載していない状態で走行するトラックを指す言葉だが、これは日本を含めた世界中で問題視されている。
空車はトラック運転手の時間を奪うだけでなく、燃料の無駄な消費につながり、高コストの原因になりかねない。もちろん、CO2排出という点から見ても良いことではない。
空車率を下げるために運送会社にオペレーションルームを設けて効率的に配車する……という方法はさらなる人件費が発生してしまう。しかしベルギーのスタートアップQargoが開発した陸運管理プラットフォームは、発注書を基に最適な輸送ルートを割り出すことができるという。発注書読み込みから請求書生成まで
物流業界は、さまざまな要因が重なり危機に見舞われている。燃料コストの上昇、CO2排出削減の要求、そしてサイバー攻撃の脅威も待ち構えている。それらの影響で過去1年間、イギリス国内だけで約500の運送会社が倒産したという。
そんな中、Qargoは陸運業務の効率化・収益の向上をサポートするAI自動化プラットフォームを運送会社に提供している。
このプラットフォームは、PDFファイルの発注書をドラッグ&ドロップすることから始まる。ここに書かれている内容、すなわち輸送の日時やその内容、距離、ルート、配送先住所、金額などを認識し、それらを自動的にプラットフォームに反映させる。その後、あらかじめ設定してある稼働車両の中から空車状態のもの、あるいはすぐに動けるものを検索し、マッチング。それに応じた最も効率の良いルートを提案してくれる仕組みだ。そのルートを実際に走行した場合のCO2排出量も算出してくれる。
さらに、顧客に提出する請求書を自動生成する機能も有している。つまり、このプラットフォームのみで運送にかかわる業務過程を完結できるのだ。
大手企業も導入
Qargoが配信したニュースリリースによると、本国ベルギーのみならずイギリス、オランダ、アイルランドの合計140社超が同社のプラットフォームを導入しているという。Altrea Group、Uniserve Groupといった大手企業もこの中に入っている。今年3月だけでも、Qargoのプラットフォームは17万5,000回の移動を指示した。1日平均3,000台のトラックが動いたという。クライアントはこのプラットフォームを使い、3,500万ポンド以上の請求処理を完了させた。
なお、Qargoのプラットフォームは従来型の陸運オペレーションプラットフォームと比較した場合、約10倍の処理速度を誇るという。