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上級職における選ばれた候補者が多様性に欠ける場合、つまり、アビバで雇用されている大多数の人々と「異ならない」場合=白人男性だった場合、ブランク氏と最高人事責任者は採用プロセスを確認することになっているので、全員を検証するということではないようです。

これが示すように、実は北米や欧州の金融業界やIT業界など、報酬の高いビジネスの世界は女性や人種的少数派はそれほど多くはありません。

特に金融業界はまだまだ男性の世界で、採用は日本のように新卒一括ではないので、大学の同窓生や中高の友達経由、前の職場の知り合い経由という感じで、お友達のコネで決まることが少なくありません。

公募もありますが、重要なポストはコネで決まることが多いです。

ですからそういう業界に行く人が多い中高や大学に進学することは大変重要です。そこでコネや知り合いを作ることになるからです。北米や欧州の受験は、偏差値だけではなく、どうやってコネを作るかが重要です。どこの学校に行くとどの業界に就職しやすいかという「裏リスト」と地元のそれなりの親は知っています。

ですからコネを作りやすい学校の学費は高額になっています。これは学費の払えない階層と差別化するためです。私学の場合は多様性や入学者の背景には厳しい監査が入らないことが多いので自由です。

ブランク氏は恐らくそういう現実をキャリアの中で見てきたのでしょう。女性で保険会社の社長になるのは大変珍しいケースです。

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